1988 Fiscal Year Annual Research Report
各種硫酸塩および硝酸塩のサブミクロン粒子による気道障害の質的差の検討
Project/Area Number |
63602544
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
香川 順 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90055955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 厚志 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60101820)
清水 悟 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70158963)
石原 陽子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50203021)
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Keywords | 硫酸エーロゾル / 肺機能 / 気道反応性 / 気管支肺胞洗浄 / 形態学 |
Research Abstract |
ガス状大気汚染物質の健康影響に関する知見はかなり蓄積されているが、サブミクロン粒子の健康影響像については未だ十分解明されていない。大気中のサブミクロン粒子の主要構成成分は、硫酸、硫酸アンモニウムを主とする硫酸塩、硝酸ナトリウムを主とする硝酸塩である。そこで、これらの粒子状物質の健康影響像の質的差を検討するため、本年度は許容濃度である1mg/m^3の硫酸エーロゾルの暴露実験を行った。 方法:体重250g前後のHartley糸雄モルモットを4時間単独暴露、4時間/日の3日間、1週間、2週間、4週間暴露の5種類の暴露群および各々に対する濾過空気暴露群(Control)(各群5匹)に分け、温湿度一定(25℃、RH50%)の条件下で暴露した。硫酸エーロゾルは、0.1%硫酸をHydro Sphere Nebulizerで発生させ濾過空気で希釈し、1mg/m^3の濃度とした。粒径ピークは0.7〜1.1μmにみられた。気道障害の評価は、Oscillation法による気流抵抗およびヒスタミン・エーロゾル吸入に対する気道反応性、気管支・肺胞洗滌液(BAL)の細胞数、細胞分画、蛋白量、血液の各種生化学的分析・気道・気管支肺胞の形態学的検索で行った。 成績:(1)ヒスタミンに対する気道反応性は硫酸エーロゾル4時間暴露で低下傾向がみられたが、その他の暴露条件では有意な変動はみられなかった。(2)BAL中の細胞数・細胞分画・蛋白量は、短期・長期暴露群共にControl群との間に有意差がみられなかった。(3)血液の各種生化学的分析では、4時間暴露群でphosphdipid,cholesterol,urea nitrogen,hematocrit,hemoglobinの上昇がみられた。(4)形態学的検索では、4週間暴露で気管・気管支の線毛の欠如およびクララ細胞の変化が認められたが、肺胞系の変化や炎症細胞の気管壁への湿潤は認められなかった。これらの成績は、許容濃度でも、短期および長期暴露で影響が観察され、今後、さらに対象数を増やし、暴露期間もより長くして、検討する必要がある事を示している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kagawa.J: Int.Arch.Occupational Environmental Health. 53. 345-358 (1984)
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[Publications] Kagawa.J: Aerosols:Research,Risk Assessment and Cantrol strategies Edited by .S.D.Lee,et al.,Lewis Publishers Inc.Ml.U.S.A.683-697 (1986)
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[Publications] Kagawa.J.,et al.: Atmospheric Ozone Research and Its Policy Implications Edited by T.Schneider,et al.,Elsevier Science Publshers,Amsterdam. 545-552 (1989)
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[Publications] Ishihara.Y,et al.: J.Appl Physiol. 64. 2026-2032 (1988)
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[Publications] 清水悟 他: 第28回大気汚染学会誌講演要旨集. 411 (1987)
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[Publications] Nagai.A.,et al.: Am.Rev.Resp.Dis.132. 937-945 (1985)
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[Publications] 香川 順: "衛生公衆衛生学テキスト" 中外医学社, 278 (1989)