1988 Fiscal Year Annual Research Report
高温熱電変換用新素材としてのSiCセラミックスの研究
Project/Area Number |
63603514
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河本 邦仁 東京大学, 工学部, 助教授 (30133094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 吉伸 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (30198254)
藤津 悟 東京大学, 工学部, 助手 (20165400)
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Keywords | 炭化ケイ素 / セラミックス / 熱電エネルギー変換 / ゼーベック係数 / フォノンドラッグ効果 / 多孔質 / 微細構造 / 性能指数 |
Research Abstract |
今年度は、中実および中空状微粒子の焼結によって得られる多孔質SiCセラミックスの熱電性能評価を行い、微細構造と性能指数の相関性を詳細に検討した。その結果、いくつかの微細構造設計指針を導くことができ、変換効率も昨年度に比べて約1桁向上することが可能となった。 1.β-セラミックスの微細構造と性能指数-中空状β-SiC微粒子を用い、1750-2000℃、N_2中3h焼結した試料について、熱電測定、XRD、SEMおよびTEM観察などを行った。ゼーベック係数が焼結温度の上昇すなわち粒成長にともなって増加する事実を見いだしたが、これは粒成長による面欠陥密度の低下がフォノンの平均自由行程を増大させ、フォノンドラック効果をより顕著にさせたためと考えられた。導電率は2000℃までは焼結温度の上昇と共に増加するが、2000℃以上ではβ相が一部α相に転移するため低下することが分かった。 2.添加物の影響-中空状および中空状微粒子を用い、B、C、BNをそれぞれ1wt%添加した焼結体を作製した。N_2中焼結試料はすべてn-typeであった。Bの添加は無添加のものに比べて導電率を若干低下させるが、ゼーベック係数を増加させ、結果としてpower factorをもっとも大きくすることが判明した。Ar中焼結試料はすべてp-typeであり、XRDによればほとんどα相へ転移していた。C添加では、無添加に比べて導電率はあまり下げずにゼーベック係数を上げるため、p型の中ではもっとも大きいpower factorを与えた。 3.微細構造の設計指針-n型β-SiCの熱電変換効率向上のためには、1)密度を低く保ったまま粒成長を促進する、2)α相への転移を抑制する、3)N、Bなどのドーピングによりキャリア濃度を制御することが重要であるとの結論を得た。微細構造の制御、B、Cの添加により、変換効率を昨年度までに得られた値と比較して約1桁向上することができた。
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[Publications] K.Koumoto: J.Mat.Sci.Lett.7. 1245-1246 (1988)
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[Publications] K.Koumoto: Ceramic Tracsactions. 2. 501-510 (1989)
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[Publications] C.H.pai: Solid State Ion. (1989)