1988 Fiscal Year Annual Research Report
生体ー材料間相互作用における複合効果の制御に関する研究
Project/Area Number |
63604006
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
赤池 敏宏 東京農工大学, 工学部, 助教授 (30101207)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村地 孝 京都大学, 医学部, 教授 (10089104)
野一色 泰晴 岡山大学, 医学部付属環境病態研究施設, 助手 (60033263)
松田 武久 国立循環器病センター研究所生体工学部, 部長 (60142189)
|
Keywords | 肝細胞 / 免疫担当細胞 / 血管壁細胞 / 人工基質 / コラーゲン / フィブロネクチン / アシアロ糖たんぱくモデル / 人工臓器 |
Research Abstract |
材料設計による細胞機能の制御は、細胞分離、細胞の改質・活性化、細胞培養等々のバイオテクノロジーのみならず、人工臓器等の医用工学分野の発展にも貢献をするものと期待されている。材料の各種の構造要因が、細胞応答にどのような影響を与えるものであるのかは、必ずしも充分には解明されていない。本研究では、肝実質細胞、血小板、免疫細胞血管壁細胞を対象に生物特異的及び非特異的相互作用が、各々どの様に連携しているのか、その細胞応答システムの複合効果を解明することを目的とした。 最も主たる課題として、肝細胞の有する特異的な機能発現を、生体外において人為的に制御する為に、接着機構の異なる各種基質材料上で初代ラット肝細胞の培養をおこない、薬剤やホルモン等の第二の刺激による細胞一基質間相互作用及び細胞機能発現等の制御の可能性を検討した。肝細胞接着基質としては、一般的に用いられている天然系基質材料のコラーゲン、フィブロネクチン、そして既にアシアロ糖たんぱくモデルとして筆最らが開発したガラクトース側鎖を有するPVLAを選びその上で培養した肝細胞に対する安息香酸や増殖因子の添加効果を検討した。その結果、どの接着基質上でも安息香酸添加量の増加に伴い、胆汁酸合成能は驚く程上昇していく一方、尿素合成やDNA合成能のように、添加量とともに低下する機能もあることが判明した。一連の研究の結果、アシアロ糖たんぱく質のレセプターとそのモデル高分子PVLAとの相互作用をベースとする肝細胞の培養の実現により、単独でかつ球形状態で比較的長期間培養することが可能となるのみならず、EGFやインスリン等を添加することにより、多数の集合体形成に基くより長期間にわたる新しい機能発現も可能となった。免疫担当細胞や血管壁細胞について種々の特異的リガンドの高分子担体への固定により活性化制御に関する有用な知見が得られた。
|
-
[Publications] Kazukiyo Kobayashi;Hiroshi Sumitomo;Akira Kobayashi;Toshihiro Akaike: J.Macromol,Sci-Chem.A25. 655-667 (1988)
-
[Publications] Toshihiro Akaike;Akira Kobayashi;Kazukiyo Kobayashi;Hiroshi Sumitomo: Journal of Bioacive & Compatible Polymers.
-
[Publications] T.Matsuda;M.Niinobe;H.Iwata;T.Akutsu: Biomaterials-87.
-
[Publications] S.Satoh;Y.Noishiki et al.: Trans.A.S.A.I.O.34.
-
[Publications] 野一色泰晴、宮田暉夫、山根義久: 人工臓器. 18. 289-292 (1989)
-
[Publications] T.Murachi;E.Takano et al.: Biochemistry. 27. 1964-1972 (1988)
-
[Publications] 赤池敏宏: "器官形成"器官形成に関する要素ー人工マトリックス材料"" 培風館, 66-74 (1988)
-
[Publications] 赤池敏宏: "バイオマテリアル" 東大出版会,