1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63604517
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 正 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (70092385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 章一郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40111570)
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Keywords | イオン輸送 / イオン認識 / クラウンエーテル / LB膜 / 化学修飾 |
Research Abstract |
膜表面のみに分子認識機能を有し、且つ物質透過性の高い固体膜の開発を目的として、クラウンエーテルの表面修飾方法と表面分子のイオン識別能について基礎的検討を行った。 1.Langmuir-Blodgett(LB)法による表面修飾 2本の長鎖アルキル基とアミド基をもった長鎖18-クラウン-6の単分子膜を、水平付着法によって酸化スズ(SnO_2半導体電極上に付着させた。この長鎖クラウンエーテルは、分子間相互作用によって安定な液体凝縮膜を形成することが判明した。LB膜修飾SnO_2電極の表面電導度を、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の水溶液に対して測定した結果、クラウン環にカチオンが捕捉されたことによる電導度の上昇が観測された。表面電導度の上昇量は、18-クラウン-6と複合体を形成しやすいカチオンほど大きかったことから、SnO_2上に作製したクラウンエーテルLB膜が溶液中のイオンを認識することが結論できる。さらに、62年度に報告した一本鎖型の長鎖クラウンエーテルよりも膜の安定性に優れている。 2.化学修飾法 シランカップラーまたはチタネートカップラーによりSnO_2表面にアミノ基を導入し、グルタルアルデヒドを介してアミノ化クラウンエーテルを化学結合させた。また、ブタジエン誘導体シランカップラーを用いて直接アミノ化クラウンエーテルを導入する方法も試みた。以上のように化学修飾したいずれのSnO_2電極においても、表面単分子層相当量のクラウンエーテルがイオン認識能を有することが、表面電導度測定から判明した。 本年度の研究で得られた知見をもとに、今後は、多孔質のガラス膜および高分子膜の表面にクラウンエーテルを修飾した輸送膜を作製する。
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[Publications] Y.Okawa; M.Sukigara; S.Yoshida; T.Watanabe: Bull.chem.Soc.Jpn. 61. 1175-1179 (1988)
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[Publications] T.watanabe; Y.Okawa; H.Tsuzuki; S.Yoshida; Y.Nihei: Chem.Lett.1988. 1183-1186 (1988)
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[Publications] H.Tsuzuki; T.watanabe; Y.Okawa; S.Yoshida; S.Yano; K.Koumoto; M.Komiyama; Y.Nihei: Chem.Lett. 1988. 1265-1268 (1988)
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[Publications] S.Yoshida; T.watanabe: J.Coord.Chem. 18. 63-68 (1988)
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[Publications] Y.Okawa; T.watanabe: Denki Kagaku. 59. 1093-1095 (1988)
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[Publications] S.Yoshida; Y.Okawa; T.watanabe; S.Inokuma; T.Kuwamura: Chem.Lett.1989. 243-246 (1989)