1988 Fiscal Year Annual Research Report
ゲルマニウムを含む有機超伝導体ドナーの合成とその物性研究
Project/Area Number |
63604520
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
友田 修司 東京大学, 教養学部, 助教授 (30092282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薬師 久弥 分子科学研究所, 教授 (20011695)
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Keywords | ゲルマニウム / セレン / 有機超伝導体 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に合成したビナフチル系も含めほかのセレンユニット及びゲルマニウム化合物の反応をいくつか検討したところ、ゲルマニウムを中心とする硫黄のスピロ型4配位化合物と推定される化合物を得た。また、合成設計の指針に供するため、Ge-Se結合に関する基礎データの測定(NMR、レーザーラマン)も行った。以下はその概要である。 (a)ビナフチルセレノシアナートを種々の条件下、GeI_2と反応させたが単量体として安定な化合物は得られなかった。(b)1、8-ジセレノナフチルジアニオンとGeI_2、GeCl_4GeMe_2Cl_2などを反応させ、有機溶媒に不溶な化合物を得た。この化合物の構造を検討中である。(c)さらに他のテトラチアンユニットとGeI_2の反応を試みたところ、有機溶媒に溶けにくい黄色粉末を得た。この結晶は元素分析、各種スペクトルデータにより、ゲルマニウム原子を中心とする硫黄のスピロ型4配位化合物であることが推定された。2この硫黄原子が互いに直交しているため、結晶内で2次元的なπ軌道および硫黄原子同士の分子間接触が可能であり、新しいタイプの導電性物質として興味がもたれる。(d)合成を進める傍ら、Ge-Se結合に関する基礎情報を得るため、ジセレノゲルマンおよびセレノゲルマンを合成し、その低波数領域でのレーザーラマンスペクトルの測定(Ge-Seの伸縮振動数は220Cm^<-1>と帰属された)およびジセレノゲルマシクロヘキサン誘導体の立体配座解析を行った。後者はきわめて対称性のよいtwits-boat配座であり(結晶状態;X線解析/溶液中;温度変化NMR;配座変換の活性化エンタルピー;7.74kCal/mol)、6員環としてこのような配座の最初の例である。ヘテロ元素系の特殊性を顕著に示す例であり、セレンの電子効果およびその非共有電子対の空間的広がりに関する情報を含むデータとして、含セレン有機超伝導体分子設計一般に役立つものと考えられる。
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[Publications] 友田修司: Chem.Lett.1988. 535-538 (1988)
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[Publications] 友田修司: J.Phys.Org.Chem.1. 179-184 (1988)
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[Publications] 友田修司: J.Chem.Soc.Chem.Commun.1988. 910-912 (1988)
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[Publications] 友田修司: J.Chem.Soc.Chem.Commun.1988. 1283-1284 (1988)
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[Publications] 友田修司: Chem.Lett.1988. 1895-1898 (1988)
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[Publications] 友田修司: Organometallics.