1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63604521
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 啓二 東京大学, 教養学部, 教授 (50012456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真崎 康博 東京大学, 教養学部, 助手 (60199677)
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Keywords | 電荷移動錯体 / 有機超電導体 / 電子供与体 / 電子受容体 / 縮合ヘテロ多環化合物 |
Research Abstract |
本年度は、新しい機能の開発を電荷移動錯体に求めて、新奇なドナーおよびアクセプター化合物を合成し、これらの錯体の物性と分子配向の関係を検討した。頭初目指したスイッチング機能の開発には至らなかったものの、超電導を示す有機ラジカル塩がいくつか発見され、それらの物性検討が活発に行なわれた。以下三つのテーマを中心に成果をまとめることができる。 1.非対称ドナーDMETを成分とする有機超電導体 ジメチルエチレンジチオジチアジセレナフルバレン(DMET)を合成し、そのラジカル塩(DMET)_2Xで7種類の超電導体が見い出された。これらのうちX=AuBr_2の塩については、2種類の多形が存在し超電導を示す塩はカッパ型の結晶構造をもつことが明らかとなった。今後、転位温度を上るような分子修飾に発展させる予定である。 2.チオフェン環の縮合したTCNQアクセプター TCNQに2個のチオフェン環を縮合させたπ-拡張型TCNQ誘導体を合成した。縮環形式により4種の異性体が可能であるが、これらすべてを合成し、ドナーTTFとの錯体を作製した。4種のうち最も電子受容性の高い異性体については、TTF錯体がかなり高い電導性を示した。また、X線解析により、DD-AA-DD……型の珍しいカラム構造をもつことが分った。今後、これらアクセプターの銅錯体を作製し、スイッチング機能を探求する計画である。 3.ポリチエノアセン チオフェン環が直線型で縮合したチエノアセンを5員環ペンタチエノアセンまで合成した。これら一連の同族体のスペクトルの検討とともにドナーとしての物性検討も行なった。次年度は、これらの錯体についてさらに詳しく研究するつもりである。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Koichi, Kikuchi: Bull. Chem. Soc. Jpn.61. 741-743 (1988)
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[Publications] Keiji, Kobayashi: J. Chem. Soc., Perkin II. 427-430 (1988)
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[Publications] Koichi, Kikuchi: Solid State Commun.66. 405-408 (1988)
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[Publications] Kazushi, Kanoda: Phys. Rev. B. 38. 39-43 (1988)
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[Publications] K. Kurata: J. of Molecular Electronics. 4. 173-179 (1988)
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[Publications] Keiji, Kobayashi: Synthetic Metals. 27. B309-B314 (1988)
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[Publications] Kazushi, Kanoda: Phys. Rev. B. (1989)
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[Publications] Kazuya, Saito: J. Phys. Chem.(1989)
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[Publications] Koichi, Kikuchi: Synthetic Metals. 27. B269-B274 (1988)
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[Publications] Kazushi, Kanoda: Synthetic Metals. 27. B385-B390 (1988)
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[Publications] Koichi, Kikuchi: Synthetic Metals. 27. B391-B396 (1988)