1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63604525
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松永 是 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10134834)
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Keywords | 走磁性細菌 / 磁気微粒子 / 抗体固定化 / 抗原抗体反応 / 磁気誘導 |
Research Abstract |
走磁性細菌は、マグネタイト微粒子を常温・常圧の非常に温和な条件下で合成する。この磁気微粒子は粒子径約1000〓で単磁区構造を取り、周囲は一様に有機薄膜によって覆われている。このため、金属の溶出が起こりにくく、分散性にも優れている。すでに、申請者らはこの磁気微粒子に酵素の固定化を行い、同サイズの人工マグネタイトに比べ酵素の固定化量も多く、酵素活性が高いことを示した。この有機薄膜に覆われた磁気微粒子に抗体を結合することにより、磁気誘導可能な分離・認識機能を有するハイブリッド材料を設計することができる。本研究は新しいハイブリッド材料としての抗体固定化磁気微粒子の作製を目的として、昭和63年度は走磁性細菌の大量培養および磁気微粒子の分離、磁気微粒子を覆う有機薄膜のキャブクタリゼーション、抗体固定化磁気微粒子の調製と固定化条件の検討などについて行った。走磁性細菌は炭素源にコハク酸、窒素源に硝酸ナトリウム、鉄源にキナ酸鉄を含むMSGM培地で培養したところ、培養開始から5日後で定常に達し、細胞数は2×10^8cells/mlまで増殖した。超音波処理により抽出した磁気微粒子は非常に分散性に優れており、平均粒子径は0.12μmであった。さらにこの磁気微粒子を有機溶媒で処理すると膜の存在は認められなかった。そこで、膜の脂質について分析したところ、3種のりん脂質と3種の糖脂質が検出された。また、膜の脂肪酸組成を分析したところ、その90%が不飽和脂肪酸であった。超音波破砕により抽出した磁気微粒子にグルタルアルデヒド処理を行った後、FITC結合抗マウスIgG抵抗体を固定化した。磁性細菌粒子には263μg/mg particlesの抗体が固定化でき、この量は比較に用いた人工のマグネタイトの約4倍であった。さらに、今後はこの抗体固定化磁性細菌粒子を磁気作用と組み合わせて利用することで、簡便、迅速ながんマーカーたんぱくの検出やがん細胞の分離のための基礎研究を行う。
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[Publications] Tadashi,Matsunaga: Redox Chemistry and Interfacial Behavior of Biological. 521-527 (1988)
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[Publications] Tadashi,Matsunaga: Biomagnetism 87. 410-413 (1988)
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[Publications] Tadashi,Matsunaga: Proceedings of MRS.
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[Publications] Noriyuki,Nakamura: Chemical Sensor Technology vo1.2.
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[Publications] 松永是: "「超微粒子」3.5細菌から分離した磁気超微粒子" 三田出版会, 236-244 (1988)