1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63604542
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
木野村 暢一 山梨大学, 工学部, 助教授 (50029732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 伸弘 山梨大学, 工学部, 助手 (90161702)
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Keywords | イオン交換 / インターカレーション / ディインターカレーション / 酸化 / 還元反応 / 層状化合物 |
Research Abstract |
1.層の電荷密度の生成物の構造に与える影響: イオン交換やインターカレーションに対する層の電荷密度の影響を調べるため、電荷密度の低いWOP_2O_7から得られる化合物と、高いHTaWO_6・nH_2Oとの比較を行った。Baより大きなイオンによる交換では、後者には層の平行移動が起こり、イオン交換率が減少することがわかった。また、アルキルアミンやジアミンとのインターカレーション化合物では、HTaWO_6・nH_2OにおいてはtransばかりではなくCisの配座の混り合った複雑な形を層間でアルキル鎖がしているが、WOP_2O_7においては単純なパラフィン様のアルキル鎖の構造が考えられた。特に、SnxHyWOP_2O_7・nH_2Oにジアミンをインターカレートさせた時には、炭素数が偶数と奇数では異なる依存性を示し、層間でのアルキル鎖の配列が規則的であることがわかった。分子の両端に電荷を持ちうるジアミンのイオンターカレーションにおいて、層の持つ電荷密度の大きさが層間での分子の配列に与える影響を明確に示すことができた。なおWOP_2O_7にはインターカレートしにくい比較的剛直なビピリジンのような分子もインターカレートすることがわかった。 2.層の酸化による電荷密度の制御: NaMo_2O_4は、Moの平均原子値が3.5である層状構造の化合物であり、酸化により層間の陽イオン量を減少させることができた。ヨウ素およびショウ素を用いた非水溶媒中では約90%までのNaが除去され、その他の水を溶媒とした酸化剤では、約70%までのNaが除去された。この化合物は、WOP_2O_7以上に広い範囲での電荷密度の調節が可能であることがわかった。 3.今後の計画: 低い電荷密度のWOP_2O_7およびNaMo_2O_4については、多核水酸化物イオンなどの大きなイオンの導入を試みる。後者についてはまだ酸化が進行すると思われるので、無水の状態での酸化、あるいは電気化学的手法により酸化させることを予定している。
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[Publications] N.Kumada: J.Solid State Chem.73. 33-39 (1988)
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[Publications] N.Kumada: Mat.Res.Bull.23. 209-216 (1988)
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[Publications] N.Kumada: Mat.Res.Bull.23. 1053-1060 (1988)
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[Publications] 熊田伸弘: 日本セラミックス協会学術論文誌. 96. 1181-1185 (1988)
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[Publications] N.Kinomura: J.Mat.Sci. (1989)