1988 Fiscal Year Annual Research Report
Through Space/Bond相互作用解析による機能性高分子のメカニズム解析
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63604574
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今村 詮 広島大学, 理学部, 教授 (70076991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪下 聡 広島大学, 理学部, 助手 (50210315)
斉藤 昊 広島大学, 理学部, 助教授 (00033853)
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Keywords | 導電性高分子 / ポリアセチレン / ポリフルオロアセチレン / ポリヒドロキシアセチレン / Through Space / Bond相互作用 / エネルギー帯間隔 / 結晶軌道の位相 |
Research Abstract |
本研究においては、機能性高分子、特に導電性高分子のエネルギー帯構造が、分子構造をどのように反映しているかを、Through-Space/Bond相互作用解析によって明らかにして、望ましいエネルギー帯構造、すなわち望ましい物性を有する高分子の分子設計をおこなうことをその目的としている。いままで、われわれの研究室では、一連のポリアセチレンおよびその誘導体のエネルギー帯構造を、abinitio法による強い結合の近似で求めた。その結果、エネルギー帯構造には、結晶軌道の有する位相が重要な役割を果たすことが、明らかになった。この結果は、基本的には、有機化学における立体特異性反応の指導原理であるWoodward-Hoffmann則と同じである。しかし、いままでの一連のポリアセチレンとその誘導体に対する計算結果では、エネルギー帯間隔は、パイエルス不安定性による結合交替の出現によって大きくなり、電気伝導度の大きい系をみい出すことは非常に困難であることがわかった。そこで、本年度は、ポリフルオロ-、およびポリヒドロキシン-アセチレンのように孤立電子対を有する側鎖のあるポリアセチレン誘導体を考えて、それを金属原子と相互作用させてエネルギー帯構造を求めた。ドーパントとしての金属原子には、ベリリウムを考えた。このドーパント系に対して、STO3Gの基底関数を用いて計算したところ、ドーパントのないときにはbeV以上だったエネルギー帯間隔は、2B至3eVまで小さくなることがわかった。一般にSTO3Gによる計算は、エネルギー帯間隔を3B至4eVほど、大きすぎる値を与えることが知られているので、上記のドーパントの系ではエネルギー間隔が消失して、金属的な挙動を与える可能性の高いことが明らかになった。この系に対してThrough Space/Bond相互作用解析をした結果、やはり軌道の位相の重要性がわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yuriko,Aoki: Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 61. 1063-1070 (1988)
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[Publications] Yuriko,Aoki: J.Chem.Phys.,. 89. 1147-1152 (1988)
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[Publications] Ko,Saito: J.Phys.Chem.,. 92. 4371-4374 (1988)
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[Publications] Akira,Imamura: J.theor.Biol.,. 135. 215-218 (1988)
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[Publications] Hiroyuki,Toh: J.theor.Biol.,. 136. 79-85 (1989)
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[Publications] Yuriko,Aoki: Theoret.Chim.Acta,.