1988 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞を用いる細胞間情報伝達機構の解明とその医療への応用
Project/Area Number |
63604581
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
砂本 順三 長崎大学, 工学部, 教授 (80037811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 智典 長崎大学, 工学部, 助手 (00162454)
秋吉 一成 長崎大学, 工学部, 講師 (90201285)
広田 正毅 長崎大学, 医学部, 助教授 (00109224)
珠玖 洋 長崎大学, 医学部, 教授 (80154194)
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Keywords | 人工細胞 / 細胞間情報伝達 / ドラッグデリバリーシステム / 人工ワクチン / 人工境界脂質 |
Research Abstract |
我々は、細胞間情報伝達機構における糖鎖の重要性に着目し、多糖類膜糖タンパク質および糖脂質をアッセンブリーした人工細胞リポソームを構築し、種々の医用材料への応用をはかってきた。本年度は、人工境界脂質の機能評価とリポソーム人工ワクチンの開発に関する成果を報告する。 1.既に我々は、人工境界脂質として2つのアミド結合を有するリン脂質を合成し、その機能評価を行なってきた。今回、ヒト赤血球とリポソームを相互作用させた時の赤血球膜タンパク質のリポソームへの移行効率に及ぼす人工細胞境界脂質(DDPC)の効果について検討した。DDPCを含むリポソーム系において、最も効率よくアセチルコリンエステラーゼ酵素が再構成され、しかも酵素活性も非常に高かった。本システムは、実細胞から直接種々の膜タンパク質をリポソーム上に効率よく再構成させる簡便な方法として種々の応用が期待される。 2.ガングリオシド糖脂質は癌関連抗原としてよく知られ、癌の免疫療法への利用が注目されているが、ガングリオシド由来の抗体の効率のよい発現とその治療への応用に関してはいまだ十分な成功を収めていなかった。我々は、ガングリオシドの免疫原性を効率よく発現させるために、リンパ系細胞と効果的に相互作用し得るシステムとしてガングリオシド再構成リポソームを開発した。この人工ワクチンをC57BL/6マウスに投与することで、マウスメラーマ癌細胞に体するワクチン化に初めて成功し、顕著な抗腫瘍効果が発現し得ることが明らかとなった。さらに、免疫後のガングリオシドに対する抗体を調べたところ、従来でみられないほど顕著な抗体産生がみられ、免疫系全体が顕著に活性化されていることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Hirota: J.Liposome Res.1. 15-33 (1988)
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[Publications] T.Sato: J.Bioactive and Compatible Polym.3. 195-204 (1988)
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[Publications] T.Noguchi: Poly.Prep.Jpn.37. 1941-1943 (1988)
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[Publications] J.Sunamoto: Nippon Kagaku Kaishi. 161-171 (1988)