1988 Fiscal Year Annual Research Report
表面雰囲気の制御によるイオン導電性アモルファス薄膜の開発
Project/Area Number |
63604582
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
南 努 大阪府立大学, 工学部, 教授 (80081313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 信也 大阪府立大学, 工学部, 助手 (10190381)
辰己砂 昌弘 大阪府立大学, 工学部, 助手 (50137238)
峠 登 大阪府立大学, 工学部, 講師 (00081315)
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Keywords | イオン導電 / 混合導電 / アモルファス / 薄膜 / 雰囲気制御 |
Research Abstract |
イオン導電性薄膜は、固体電池、センサーなどへの応用が期待され、活発に研究が進められている。本研究では種々の薄膜化手段を用いて、作製時の表面雰囲気の制御を行うことにより、安定で特性の優れたイオン導電性アモルファス薄膜を開発し、その導電機構や構造を明らかにすることが主な目的である。得られた成果は以下の通りである。 1.ゾル-ゲル法によりプロトン導電性ガラス薄膜の作製を試みた。オルトケイ酸エチルとリンモリブデン酸(MPA)を出発原料として、MPAを最高42wt%まで含む均質な薄膜が得られた。この薄膜の導電率は相対湿度に対して直線的、かつ可逆的に変化することから得られた薄膜が湿度センサーとして利用し得ることを明らかにした。 2.組成によって、カチオン導電体にもアニオン導電体にもなり得るフッ化ジルコニウムを主成分とするガラス薄膜を超急冷法によって作製した。このガラス系においてカチオンやアニオンの混合がイオン導電率に及ぼす影響について検討した結果、カチオン導電体においてもアニオン導電体においても、混合カチオン効果と混合アニオン効果が認められた。このイオン導電率における混合効果は「混合されたイオン種はその相互作用のために動きにくくなり、混合されていないイオン種はその反作用で動きやすくなる。」という仮説をおくことで統一的に解釈できた。 3.新しく開発した、Li^+,Cu^+,F^-,イオン導電性ガラスの構造について、IR、ラマン、X線分子動力学などの手段を用いて解析し、イオン導電性との関連性を検討した。その結果、ガラスの構造は対応する結晶化合物の構造からの類推では必ずしも理解できず、融液状態の構造と深く関連していることを明らかにいた。特にリチウムイオン導電性ガラスであるLi_2O-B_2O_3-SiO_2-P_2O_5系において、融液中で比較的強い酸性を示すリン酸は、ガラス中で、より孤立した構造単位として存在することを見出した。
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[Publications] M.Takahashi: Chem.Express. 3. 17-20 (1988)
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[Publications] M.Tatsumisago: Phys.Chem.Glasses. 29. 63-66 (1988)
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[Publications] 南 努: 化 学. 43. 344-345 (1988)
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[Publications] 南 努: 化 学. 43. 512-517 (1988)
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[Publications] N.Umesaki: Trans.Iron & Steel Inst.Jpn.2. 852-859 (1988)
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[Publications] M.Tatsumisago: Solid State Ionics. 26. 41-47 (1988)
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[Publications] 南 努: ニューセラミックス. 1. 65-70 (1988)
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[Publications] N.Umesaki: J.Non-Cryst.Solids. 106. 77-80 (1988)
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[Publications] M.Tatsumisago: Phys.Chem.Glasses. 28. 256-258 (1988)
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[Publications] M.Takahashi: J.Non-crystalline Solids. 107. 330-333 (1989)
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[Publications] M.Tatsumisago: J.Am.Ceram.Soc.72. (1989)
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[Publications] M.Takahashi: J.Am.Ceram.Soc.72. (1989)
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[Publications] Y.Kowada: J.Phys.Chem.93. (1989)
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[Publications] 南 努: "セラミックスのプロセステクノロジー(ニューケラスシリーズ、編集委員会)" 学献社, 273 (1988)