1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63606505
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幸田 清一郎 東京大学, 工学部, 助教授 (10011107)
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Keywords | 酸素原子 / 有機金属化合物 / 化学活性化反応 / シラン / シリルラジカル / ヒドロキシラジカル / 化学発光 / パルス燃焼 |
Research Abstract |
本研究は殆んど系統的な研究のなされていない有機金属化合物(特にシラン類)と酸素原子や、酸素分子、オゾンとの反応を化学活性化反応の一種としてとらえ、分子の内部エネルギーのランダム化や非断熱遷移に及ぼす中心重原子の効果を明らかにする事を目的としている。本年度に得られた結果は以下のとおりである。 1.低圧下のシラン一酸素系のパルス燃焼と化学発光 パイレックス製反応容器中で、数トルの低圧下でパルス的燃焼が周期的に進行することを、系からの発光をモニターすることにより明らかにした。この反応系では、常圧の火炎と比較的類似した発光スペクトルが得られる。また、パルス燃焼の開始には、気相-界面間の反応が重要であるとの結論を得た。 2.シランと励起酸素原子(O(^1D)の反応 シランとO(^1D)の反応を低圧下で検討した。即ち、シランと一酸化二窒素の低圧混合気にArFエキシマーレーザー光を照射してO(^1D)を発生させて、これとシランとの反応を進行させる。生成すると予想されるOHラジカルを、レーザー誘起蛍光法によって検出した。OHラジカルの振動、回転初期分布を、メタンとO(^1D)の反応の場合と比較すると、より高い状態にまで励起されていることが示された。また、一たん生成したOHラジカルは、さらに二次的にシランと反応して減衰する。との知見を得た。一方、反応系にシリルラジカルが生成していることを赤外ダイオードレーザー吸収法によって明らかにした。シリルラジカルの振動基底状態の時間挙動から、検出されたものは初期生成物自体ではなく、それが緩和したか、あるいはOHラジカルとの二次的な反応の生成物であると結論した。初期分布の知見は、反応動力学的挙動の理解にとって重要な知見を与えた。
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Research Products
(1 results)