1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63607507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千鯛 眞信 東京大学, 工学部, 教授 (60011011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 洋一 東京大学, 工学部, 助手 (40193263)
溝部 裕司 東京大学, 工学部, 助手 (40175609)
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Keywords | C-H結合活性化 / シクロカルボニル化 / パラジウム触媒 / 縮合複素環合成 / 配位不飽和錯体 / アゴスティツク相互作用 |
Research Abstract |
当研究室で前年度に見い出したシンナミル化合物のシクロカルボニル化反応は、ベンゼン環のC-H結合の切断とC-C結合の形成を含む新規触媒反応である。本年度は芳香族C-H結合の活性化に関連して、まずシクロカルボニル化反応による縮合複素環合成を検討した。すなわち、3位にフラン、チオフェン、またピロール環を置換基に持つアリル化合物をPd触媒、無水酢酸、およびトリエチルアミン存在下カルボニル化したところ、それぞれからアセトキシ置換ベンゾフラン、ブンゾチオフェン、インドールが収率良く(50-90%)得られることを見い出した。同様にしてジベンゾフラン、カルバゾール骨格も合成できる。3-フリル、3-チエニル基を持つ基質では2位への環化が選択的に進行する。このことから、本反応は酸素官能基を持つ各種縮合複素環の選択的合成にきわめて有効な手段となることが判明し、今後天然物等の合成への応用が期待できる。また、シクロカルボニル化に対する複素環とベンゼン環の反応性を反応温度を変えて比較したところ、反応性の高さはフラン>ベンゼン>ピリジン環の順であることがわかった。以上の結果からシクロカルボニル化反応は、アシル錯体上で芳香環をアシル基が求電子的に攻撃して進行している可能性が考えられる。 次に配位不飽和錯体の合成と反応に関して、MoおよびWの5配位錯体の検討を行った。まずWの5配位錯体W(CO)(dpe)_21__〜を初めて合成し、この錯体がH_2との反応でジヒドリド錯体を与えることを見い出した。これは分子状水素の錯体を与えるMo(CO)(dpe)_22__〜と対照的である。また、dpeフェニル基のオルト水素が2__〜ではMoとアゴステイック相互作用を持つこと。一方1__〜ではWとアゴスティック相互作用、オルトメタル化のそれぞれの状態に対応する化学種が溶液中で存在することをNMRにより観測した。この結果はWの強い逆供与によるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hirouki,Matsuzaka: The Journal of Organic Chemistry. 53. 3832-3838 (1988)
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[Publications] Masakazu,Iwasaki: Chemistry Letters. 1988. 1159-1162 (1988)
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[Publications] Masakazu,Iwasaki: Tetrahedron Letters. 30. 95-98 (1989)