1988 Fiscal Year Annual Research Report
メトキシフェニルチオメタンを用いる新増炭素手法の開発
Project/Area Number |
63607528
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
大寺 純蔵 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20131617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 恒夫 岡山理科大学, 工学部, 講師 (80183383)
野崎 一 岡山理科大学, 工学部, 教授 (40025763)
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Keywords | メトキシ(フェニルチオ)メタン / ポリカルボニル化合物 / 1,4-ジケトン / 一炭素延長剤 / 二炭素延長剤 / フェニルチオ基転位 |
Research Abstract |
メトキシ(フェニルチオ)メタンを鍵中間体とするポリカルボニル化合物の新規な合成法を確立した。 (1)掲題化合物1__#とアルデヒドの付加体2__〜をMe_2SO_2cl-E+_3Nで処理することによりα-スルフェニルフルデヒドの一般合成法を開発した。この化合物にWittig反応することによりビニルスルフィドに変換し、続いてこれを加水分解することにより目的とする1,4-ジカルボニル化合物を収率良く得た。本法はγ-オキソエステル、ニトリル、アミド、ケトン等に適用できる一般性の高い合成法である。従来、1,4-ジカルボニル化合物は主としてC_3+C_1またはC_2+C_2単位のカップリングで合成されてきた。ここではその骨格C_2+C_1+C_1により構築されており、従来に例を見ない全く新らしいルートである。さらに本法はより高次のポリカルボニル化合物、例えば1,4,7-トリカルボニル化合物にも適用される。 (2)前法では2__〜からの二炭素延長をフェニルチオ基の転位およびWittig反応の二段階で達成した。引きづつき検討した結果、本工程を一般で行なえる方法を見つけた。2__〜をアセチル化またはメシル化した後四塩化スズ存在下でエノールシリルエーテルと反応させるとγ-フェニルチオ-β-メトキシケトン3__〜が得られる。3__〜をmCPBA酸化,熱分解することにより1,3-ジケトンを、3__〜をt-BuOKで処理続いて加水分解することにより、1,4-ジケトンを得た。これらの反応は新規なフェルニチオ基転位と、隣接するメトキシおよびフェニルチオ基の選択的な脱離反応を巧に組合わせて達成されたものであり掲題化合物の特徴をうまく利用したものである。従って掲題化合物は従来の一炭素延長剤には見られなかった種々の等価体としての利用が今後益々拓けるものと期待される。
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[Publications] J.Otera: Synthesis. 95-102 (1988)
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[Publications] T.Sato;H.Okazaki;J.Otera;H.Nazaki: J.Am.Chem.Soc.110. 5209-5211 (1988)
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[Publications] T.Sato;M.Inoue;S.Kobara;J.Otera;H.Nazaki: Tetrhedron Lett. 30. 91-94 (1989)