1988 Fiscal Year Annual Research Report
高速電気化学的パルス法による高分子錯体の多電子移動過程の解析
Project/Area Number |
63612505
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小山 昇 東京農工大学, 工学部, 助教授 (40134845)
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Keywords | 高分子錯体 / 多電子移動 / 薄膜被覆電極 / 電気化学パルス法 / ビオローゲン / 二分子膜 / アリザリンレッド |
Research Abstract |
本研究では、電気化学的に活性である、すなわち酸化還元置換基をもつ高分子を薄膜にし、電気化学的手法(電場印加)により多電子移動過程を伴う反応場を作製し、当研究室で開発してきている電気化学的各種高速パルス測定法と分光学的手法とを併用して多電子移動過程の機構を定量的に解析評価する。その電子移動過程の解明と一般的モデル化を行うことを目的とした。 (a)ポリアルキレンビオローゲン(PAV)とポリスチレンスルホン酸(PSS)ポリイオン錯体の薄膜を作製しビオローゲン活性点の酸化状態を2価から0価にする2電子移動反応場を作製しその反応機構の解明を行った。ビオローゲン活性点間の距離をアルキル基の長さ(メチレン基の数n=3、4、5、6、7、8、9、10、12)を変え同様の測定を行い電子移動反応に対する距離の依存性を昭和62年度に引き続き調べた。さらに、ビオローゲンサイトの2価(V^<2+>)から1価(V^+)へと1価から0価(V^0)への二つの還元反応における薄膜内の電子移動反応の速度定数Dappを求めた。2電子還元反応に対するDappの値はV^+→V^0への還元反応に対する値より小さく、またV^<2+>→V^+への還元反応に対する値よりも大きいことがわかった。これらの還元反応に対するDappの相対的な大きさよりPAV-PSSコンプレックス薄膜内における2電子還元反応では、電極表面で2電子還元により生成したV^0とV^<2+>が膜内で、V^0+V^<2+>→2v^+で示される均化反応を起こして、2つのV^+を生じこれが膜内電荷移動反応過程に大きく寄与していると推定した。(b)二分子膜を形成する化合物を用いて固定した幾何学的ドメインを作製し、その中にポリ(ビオローゲン)などの高分子錯体を配置しその配置の電子移動速度への影響を調べた。nが奇数・偶数とでDappの値の大きさに規則性があることを見い出した。分光学的手法を併用しビオローゲンサイト間の相互作用を調べ、Dappの値とその相互作用の違いとの相関性を調べた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Noboru,Oyama: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 1095-1101 (1988)
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[Publications] Noboru,Oyama: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 3103-3114 (1988)
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[Publications] Noboru,Oyama: J.Macromol.Sci.-Chem.A25. 1463-1473 (1988)
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[Publications] Noboru,Oyama: Anal.Chem.60. 2534-2536 (1988)
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[Publications] Noboru,Oyama: Denki Kagaku. 56. 781-782 (1988)
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[Publications] Noboru,Oyama: J.Macromol.Soc.-Chem.A26. 593-608 (1989)
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[Publications] 小山昇: "現代電気化学法-応用マニアル" 講談社サイエンティフィック, (1988)
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[Publications] Noboru,Oyama: "Chemical Sensor Technology Vol.2." Kodansha & Elsevier, (1989)