1988 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性金属ポルフィリンの光励起電子移動過程の研究
Project/Area Number |
63612507
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大倉 一郎 東京工業大学, 工学部・生物工学科, 教授 (90089821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 義夫 東京工業大学, 工学部・生体分子工学科, 助教授 (60016649)
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Keywords | ビオローゲン結合型ポルフィリン / 分子内電子移動 / ヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
均一系による光水素発生反応では、電子供与体-光増感剤-電子伝達体-触媒よりなる4成分系がおもに用いられている。本研究者らは、すでに4成分系において、水溶性のポルフィリンが光増感剤として優れていること、電子伝達体としてはメチルビオローゲンなどの各種ビピリジニウム塩が試用できること、酵素ヒドロゲナーゼが触媒として優れていることを明らかにしてきた。昨年度までの研究では、電子移動過程を効率よく行うために、光増感剤であるポルフィリンと電子伝達体であるビオローゲンが結合した一連の化合物を合成し、光水素発生反応を検討した。その結果、水素発生速度に、特異なメチレン鎖長依存性が認められた。本年度は、ビオローゲン結合型ポルフィリンの構造と機能との関係を詳しく検討するために、一連の新規化合物を合成した。これらの構造と性質を主に^1H-NMRにより調べた。また、新規ビオローゲン結合型ポルフィリンの分子内電子移動反応を試みた。^1H-NMRスペクトルから、溶媒中におけるビオローゲン結合型ポルフィリンのコンフォーメーションはメチレン鎖長にあまり依存せず、メチレン鎖長が短くなるほどビオローゲンとポルフィルとの空間的距離は短くなり、ビオローゲンとポルフィリンとの間には強い電子的相互作用がないことがわかった。メチレン鎖長が短くなるほどビオローゲンによりポルフィリンの螢光が効率よく消光され、溶媒をアセトニトリルとした場合、螢光の減衰は2成分であった。長寿命成分の螢光寿命はビオローゲンの結合していないポルフィリンとほぼ同一であり、これは分子内電子移動反応によるものではなく、短寿命成分が分子内電子いどはんのうに基づくものであることがわかった。分子内電子移動速度定数はメチレン鎖長が短くなるほど大きくなる傾向を示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S.Aono;I.Okura: Inorganica Chimica Acta. 152. 55-59 (1988)
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[Publications] S.Aono;N.Kaji;I.Okura: Journal of Molecular Catalysis. 45. 175-181 (1988)
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[Publications] Y.Kinumi;I.Okura: Inorganic Chimica Acta. 153. 77-88 (1988)
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[Publications] I.Okura;Y.Kinumi;N.Kaji;S.Aono: Journal of Macromolecular Science-Chimistry. A25. 1275-1284 (1988)
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[Publications] 梶成彦,大倉一郎: 日本化学会誌. 569-571 (1988)
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[Publications] 北達哉,大倉一郎: 日本化学会誌. 544-549 (1988)
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[Publications] 戸田不二緒,相沢益男,梶内俊夫,大倉一郎,北爪智哉: "生物工学基礎" 講談社サイエンティフィク, 147 (1988)