1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63614504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 正史 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10107427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東條 有伸 東京大学, 医科学研究所, 助手
松七五三 仁 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90199844)
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Keywords | オンコジン / 脳腫瘍 / EGF受容体 / ros遺伝子 / 減数分裂 / cdc2 / 28遺伝子 |
Research Abstract |
我々はこれまでにチロシンキナーゼ型がん遺伝子の解析と腫瘍における活性化がん遺伝子の検索を主な研究課題としてきた。本年度は、さらに新しいプロティンキナーゼ遺伝子の単離・解析、脳腫瘍におけるEGF受容体遺伝子の質的異常の発症機構の解析などを行った。 1.精巣に特異的に発現する新しいプロティンキナーゼ遺伝子mrkについて、 v-rosをプローブとしたスクリーニングにより、新しいキナーゼ型遺伝子(mrk)を単離した。興味深いことに、このmrkは精巣のみで強い発現が見られ、また細胞分画などにより減数分裂と密接に関係していることが明らかとなった。さらに。プロティンキナーゼドメインはアミノ酸レベルで酵母の細胞周期調節遺伝子cdc2/cdc28と50%近い類似性を示し、そのスーパーファミリーの1員であることが強く示唆された。今後はさらにタンパクレベルの解析や、その精巣内での局在、標的タンパク、潜在的発がん性などを検討したい。 2.プロトオンコジンc-ros-1について、 肺、心臓、精巣で発現している長さの異なるc-ros-1CDNAについて、各々の単離をほぼ終了し、肺のCDNAは約1800アミノ酸の巨大な細胞外ドメインをもつキナーゼをコードすることを示した。 3.ヒト脳腫瘍における異常なEGF受容体遺伝子について、 既に報告した欠失変異をもつEGF受容体について、変異の発症機構を明らかにする目的でゲノムDNAを解析した結果、EGF受容体遺伝子の第1、第6イントロン間における欠失変異であること、このような変異は他の脳腫瘍でも見られるが。欠失の位置は同じイントロン内部の別な位置で生ずること、などが明らかとなった。今後、この欠失変異を伴う遺伝子増幅について、発がんにおける意義をさらに検討したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Yamazaki: Mol.Cell.Biol.8. 1816-1820 (1988)
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[Publications] S.Hirosawa: Amer.J.Hematol.28. 33-36 (1988)
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[Publications] H.Nakaishi: Biochem.Biophys.Res.Commun.150. 766-774 (1988)
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[Publications] H.Nakaishi: Cancer Res.48. 1753-1758 (1988)
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[Publications] Y.Shibasaki: Biochem.J.249. 715-719 (1988)
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[Publications] T.Tsuchiya: Biochem.Biophys.Res.Commun.(1988)