1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63615506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 正幸 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 忠行 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90188194)
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Keywords | 分裂酵母 / 減数分裂 / cAMP / アデニル酸シクラーゼ / 栄養源 / 遺伝子クローニング / 転写制御 |
Research Abstract |
分裂酵母において、通常の細胞周期から減数分裂過程への切替えを制御している一群の遺伝子は、培地の窒素源飢餓により転写誘導を受け、培地にcAMPを加えることで転写阻害を受ける。本年度の研究では、分裂酵母が減数分裂に入る生理的条件下で確かに細胞内のcAMPが低下していることを実測した。また、サッカロミセス酵母のcAMP代謝系の遺伝子を利用して、人為的に分裂酵母細胞内cAMP濃度を操作し、高濃度で減数分裂阻害、低濃度でその促進がみられることを示し、cAMPが栄養状態の信号を仲介している可能性が明示した。さらに、減数分裂開始制御遺伝子の転写についてみた時、欠損すると常に高cAMP状態に似た生理状態を造り出すsteX遺伝子、一方過剰発現することで同様の状態を造り出すpac1およびpac2遺伝子を同定し、それらの全塩基配列を決定した。配列からみる限り、これらはcAMP代謝系あるいはcAMP依存性タンパク質リン酸化酵素の遺伝子ではなかった。steX、pac1、pac2それぞれの推定産物のもつ特徴や、転写のパターンから、これらの遺伝子はcAMPカスケードと減数分裂開始制御遺伝子の転写調節とを結ぶ経路上の因子コードしているものと考えられるた。一方また、栄養源によって細胞内cAMP濃度が調節される機構が新たな問題として浮かび上がるが、その鍵となる酵素アデニル酸シクラーゼの遺伝子を分裂酵母より単離し、主要部分の構造決定を修了した。
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[Publications] 渡辺嘉典: The EMBO Journal. 7. 761-767 (1988)
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[Publications] 菊地淑子: Current Genetics. 14. 375-379 (1988)
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[Publications] 福井泰久: Molecular and General Genetics. 215. 26-31 (1988)
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[Publications] 竹田忠行: "Calcium Signal and Cell Response" Japan Scientific Societies Press/Springer-Verlag, 311-313 (1988)