1988 Fiscal Year Annual Research Report
W突然変異マウスの細胞複製異常を解析する培養実験系の確立とW遺伝子産物の探索
Project/Area Number |
63615512
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学部, 助手 (20177489)
仲野 徹 大阪大学, 医学部, 助手 (00172370)
藤田 潤 大阪大学, 医学部, 助教授 (50173430)
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Keywords | ミュータントマウス / マスト細胞 / 線維芽細胞 / 細胞間相互作用による増殖刺激 / 共生培養 |
Research Abstract |
マスト細胞にはT細胞の生産するIL-3に依存する増殖と線維芽細胞との接解に依存する増殖という2種類の増殖刺激機構が存在する。Wマウスの骨髄細胞をIL-3存在下で培養して得たマスト細胞はIL-3が存在すれば増殖を続ける。しかしながらこのWマウス由来のマスト細胞はマウス胎児由来の3T3線維芽細胞から増殖刺激を受け取ることができない。我々も上記の実験事実からW遺伝子の産物は線維芽細胞の表面に存在する未知のリカンドに対するレセプターであろうと考えていたが本年度中にアメリカとカナダの2つのグループにより、W遺伝子とC-Kit癌原遺伝子は同一であることが示された。C-Kit遺伝子がコードしているのは膜貫通性の蛋白質であり、タイロシンカイネース活性を持つレセプターと考えられるので、この点では我々の推測もあたっていたわけである。実際正常マウス由来の培養マスト細胞はC-KitのmRNAを含んでいる。また代表的なWマウスであるW^V/W^VマウスよりIL-3存在下で得た培養マスト細胞もC-KitのmRNAを含んでおり、我々が用いた合成DNAのプローベではt/tのマスト細胞より得たmRNAと区別できないので、W^Vは点突然変異であろう。SIマウスはWマウスと同じ表現型を持っているが、SIマウスより得た培養マスト細胞は線維芽細胞からの増殖刺激を正常に受けとるのにSIマウスの胎児より樹立した3T3線維細胞とt/tマウス由来のマスト細胞を共生培養してもマスト細胞はG_1期からS期に入ることができない。この結果からSI遺伝子がコードしている蛋白質こそがW(C-Kit)遺伝子がコードしているレセプター蛋白質に対するリガンドだと推察される。W(C-Kit)とSIの系は細胞間相互作用を分子レベルでしらべる美しい実験系になりつつあると考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Fujita,J.: Journal of Cullular Physiology. 134. 78-84 (1988)
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[Publications] Nakayama,H.: Development. 102. 107-116 (1988)
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[Publications] Nakayama,H.: Development. 102. 117-126 (1988)
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[Publications] Fujita,J.: Blood. 72. 463-468 (1988)
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[Publications] Nakano,T.: Blood. 73. 423-430 (1989)
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[Publications] Kitamura,Y.: Annual Review of Immunology. in press.
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[Publications] Kitamura,Y.: "Unique features in differentiation of mast cells.In Cell Differentiation,Genes and Cancer" IARC(Lyon), 203pp.11-19 (1988)
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[Publications] Kitamura,Y.: "Mechanisms of mast cell defficiency in mutnat mice of W/W^Vand SI/SI^d genotypes.In Mast Cell and Basophil Differentiation and Function in Health and Disease." Raven Press,