1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63619511
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
酒泉 満 東京都臨床医学総合研究所, 実験動物研究部門, 研究員 (40175360)
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Keywords | MHC / メダカ / 交配実験 / 移植片拒絶 / 組織適合性抗原 |
Research Abstract |
哺乳動物の主要組織適合性抗原遺伝子(MHC)は著しい多型性を示し、免疫担当細胞による抗原(非自己)の認識に重要な役割を果たしていることが知られている。一方、脊椎動物の同種移植片拒絶のパターンは多様であることから、下等脊椎動物の示す移植片拒絶反応は,MHCの起源に関する興味深い問題を提起している。これらの事実を脊椎動物の系統発生の上で理解するため、本研究は、近年わが国で確立されたメダカの近交系を用いて硬骨魚類のMHCを探索・分析し、脊椎動物におけるMHCの起源と進化について考察することを目的として開始された。 本研究ではこれまでにメダカのMHCへのアプローチの第一歩として2つの近交系間でうろこの相互移植を行い、4日後に拒絶のピークが現れること、7日から8日で急激な移植片の拒絶が終了することを示した。また、F2世代、戻し交配世代へ親系統のうろこを移植することによりこの期間に起こる移植片の拒絶には4日までの拒絶に1つ、8日までの拒絶にはさらに1-2つの遺伝子が関与することが推定された。これらの結果は、メダカには従来の"移植の法則"に合致する組織適合性抗原およびその遺伝子が存在し、今回用いた3つの近交系(HB32C,HB11C,HO4C)に関する限り、急性の拒絶に関わるのは2-3つの比較的少数の遺伝子であることを示している。今後はこの抗原に対するモノクローナル抗体を作成することにより抗原分子を捕まえることを試みたい。 一方、マウスのクラスIIのプローブを用いたサザンブロットの結果からマウスのDNAから直接的にメダカのMHCを捜すことは困難であることが示唆された。さらに、マウスのモノクローナル抗体を用いることによってすでにフナで報告のあるIa7の抗原性をメダカで探索することを試みたがIa7の抗原性を確認することはできなかった。
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