1988 Fiscal Year Annual Research Report
異なる温度で生合成される二種類の光受容分子間一次構造差の解析
Project/Area Number |
63621501
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚原 保夫 東北大学, 応用情報学研究センター, 教授 (60004587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
針山 孝彦 東北大学, 応用情報学研究センター, 助手 (30165039)
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Keywords | 発色団 / ロドプシン / ポリフィロプシン / 一次構造 / アメリカザリガニ / 季節二形性 |
Research Abstract |
無脊髄動物では同一個体が複数の発色団を持つ例は我が国の研究者によってザリガニにおいて初めて見いだされた。本研究では環境温度の変化によって導かれる光受容分子の合成誘導機序と、これら異なるタンパク質の吸収帯に及ぼす影響及びその生態学的意義を明らかにすることにある。本年度の研究成果。1)細胞内記録によって、retinalのみを含む網膜からは(夏型の個体)600nmをλmaxとする作用スペクトルが得られ、retinalと3-dehydroretinalの両者を発色団として持つ網膜からは(冬型の個体)前出と同型の600nmをλmaxとする細胞のほかに、560nm:幅が広い600nm、および640nmをλmaxとする光受容細胞が見いだされ、4種のロドプシンが別々の細胞に含まれていることが明らかにされた。2)網膜蛋白に対するモノクローナル抗体のうち4種類以上がwestern blotting法によりロドプシンの分子量である約3500daltonに結合し、更に組織学的には光受容膜の存在するラブドームに結合した。3)これらの抗体のうち、冬型網膜に存在する全細胞受容膜に結合するもの、λmax420nmの細胞以外の全細胞に結合するもの及び、42〇nm以外の細胞を染め別けるものがあり、温度変化によって異なる光受容蛋白が合成される事が確認された。4)冷蔵庫内で完全暗黒下で飼育すればレチナールと3-デヒドロレチナールをほぼ等量網膜内に持つ個体(冬季型)が安定に得られる。冬季型の個体を25℃、LD12:12で飼育するとほぼ1週間でレチナールのみを持つ夏期型となり、光受容分子の代謝速度は非常に早いことが予測される。また冬季型のロドプシン含量は夏期型のほぼ2倍あり興味ある問題を投げかけた。次年度は冬型の網膜から二種類のmRNAを得、二種類の発色団の含有率と、二種類のオプシンのmRNAの含有率との関係を明確にする。mRNAの定量と、それから異なる蛋白の一次構造の推定を中心に研究を行なう予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hariyama, T.: Comp. Biochem. Physiol.91A. 529-533 (1989)
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[Publications] Hariyama, T.: Ann. Appl. Inform. Sci.