1988 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーシスによる神経障害とグリア細胞成長因子阻害物質による神経再生促進
Project/Area Number |
63623509
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 亮 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (90094383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 仁一 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (60167260)
加藤 泰治 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60094364)
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Keywords | グリオーシス / 神経再生 / 糖脂質 / シアロシルコレステロール |
Research Abstract |
ニューロンの機能修復に対するグリアの作用は、再生・修復を促進的あるいは抑制的にはたらくという二つの考え方がある。分担研究者は反応性グリオーシスが長期的には、ニューロンの機能修復を阻害するのではないかという立場より、今回、新しい合成糖脂質(α-シアロシルコレステロール)を用いグリア性細胞の増殖・分化に与える影響を検討した。α-シアロシルコレステロールは、正常グリア細胞ばかりでなく腫瘍性グリア細胞の増殖を強く阻害すると同時に、またその形態的分化も促進した。細胞内骨格の変化としては、著明なアクチン構造の変化がみられ、とくにα-シアロシルコレステロールの作用はアクチン繊維(Fアクチン)のbundle化に影響することが示唆された。 今回の研究はあくまで、ニューロンの機能修復に対してグリオーシスが阻害的に働くという観点から、グリアの増殖を抑えニューロンの再生・修復を促進することを目指した。確かに中枢神経系においては、グリオーシスがはん痕形成につながり臨床的な後遺症の原因となるし、末梢神経系でのグリオーシスは中枢神経系より大きな障害となる。ただ損傷直後あるいは比較的早期に起こる反応性グリオーシスは、グリアは明らかにニューロンの再生・機能修復を補助することがneurotrophic factorなどの研究より証明されている。今後はニューロンの再生・機能修復にたいするグリアの作用を、損傷後の時間的要因も考慮して総合的に研究してゆきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Aono,S. et al.: J.Neurochem. 50. 700-703 (1988)
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[Publications] Kato,T. et al.: Brain Res.438. 277-285 (1988)
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[Publications] Ito,J. et al.: Brain Res.(1989)
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[Publications] Okumura-Noji,K. et al.: Neurochem.Int.(1989)
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[Publications] Ito,J. et al.: Neurochem.Int.