1988 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション障害児の行動観察による心理学的診断の研究
Project/Area Number |
63626010
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
井上 早苗 東京女子大学, 文理学部, 教授 (50086790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 公喜 筑波大学, 心身障害学系, 助教授
山田 麗子 国立身体障害者リハビリセンター, 研究所・障害福祉研究部, 室長
高杉 弘之 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 室長
菅井 邦明 東北大学, 教育学部, 助教授
鹿取 廣人 東京大学, 教養学部, 教授
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Keywords | コミュニケーション行動 / 環境との相互交渉 / 行動観察 / 心理学的診断 / 実践研究 |
Research Abstract |
コミュニケーション行動を、子どもが「周囲からの働きかけを受容し自らも行動を起して外界に働きかける」という子どもと環境との相互交渉として促えた上で、次のように研究を計画し実行している。 (1) 研究班の各人がすでに行っているコミュニケーション行動を促進するための実践研究を続行し、必要に応じて新しい事例を開始する。 (2) 学習内容は、子どもの行動様式、水準に応じて〈1〉外界に対して行動を自発する自己運動系の統制学習〈2〉外界の事象に選択的に対応行動を起す概念行動の基礎学習〈3〉言語を持たない子どもにも有効な信号によるコミュニケーション行動の成立〈4〉言語信号による記号操作の基礎学習に大別される。 (3)各事例について共働で検討する研究協議会を度々開きコミュニケーション行動の規定要因について、研究分担者間での共通理解を計っている。われわれは子どもへの働きかけに当って、各人が持っている行動成立についての仮説に従って子どもを観察し、判断を加えて、具体的な学習素材を考案して、子どもの前に外界として準備する。この時子どもの前に準備される外界が、何を前提としているかについて共通理解を得る方向で研究協議の作業をすすめている。 (4)また、本研究をすすめていく上で、「行動観察」と「診断」の現状と問題点を明らかにするために、学会誌や研究紀要などに報告されている本邦の実践研究や症例研究について〈1〉その症例についての記述〈2〉用いられている診断、検査法〈3〉子どもの状況と働きかけの関係について収集し検討することをはじめた。このことを通して、子どもの状態像を説明するに必要にして十分な事項は何かを見定める資料としたい。
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[Publications] 井上早苗 他: 「コミュニケーション障害児の診断と教育に関する研究」昭和63年度研究成果発表会 発表論文集. 3-4 (1989)
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[Publications] 菅井邦明: 東北大学教育学部年報. 第37集. (1989)
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[Publications] 山田麗子: 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究紀要. 第9号. 1-9 (1988)
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[Publications] 吉野公喜: 心身障害学研究. 13(1). 73-79 (1988)