1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63628508
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 幸男 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (10029902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 秀子 大阪大学, 産業科学研究所, 教務職員 (70166437)
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Keywords | 固相放射線重合 / 結晶場 / ジエチニルベンゼン誘導体 / 共役ポリエン重合体 |
Research Abstract |
結晶性のアセチレン化合物として種々のジエチニルベンゼン誘導体を合成し、分子構造と結晶構造および固相重合反応性を比較した。分子構造の異なるジエチニルベンゼン誘導体の固相重合反応性の差異は結晶構造により説明された。置換基の種類や位置により固相放射線重合を制御するための基礎的知見が得られた。例えば、最も重合反応性の高かった単量体結晶では、一方の三重結合は重合に適した配置を取り、他方は立体的に保護されていることが明らかになった。このような単量体では、一方の三重結合から共役ポリエン主鎖が形成され、他方の三重結合は未反応のままペンダントとして重合体中に残存することになる。得られた可溶性の重合体は、さらに光または放射線を照射すると残存する三重結合の架橋反応による不溶性となる。すなわち、結晶場を利用することにより三重結合をペンダントに有する可溶性の共役ポリエン重合体を効率よく合成することが可能となり、この重合体は膜状でネガ型レジストとして利用できる。ジエチニルベンゼン誘導体の他にも三重結合を有する単量体を合成し、固相放射線重合を試みた。三重結合を二つ有する単量体では、ジエチニルベンゼン誘導体と比較し、架橋ゲル化が起こり易く、可溶性の重合体の収率は低かった。照射試料のESRスペクトルの測定により、重合反応の進行に伴うラジカルの挙動を追跡する事ができた。照射によって生成する初期ラジカルと生長ラジカルの帰属を行った。ESRシグナルの変化と単量体結晶の重合反応性との相関が明らかとなった。生成する重合体は淡黄色から暗赤色に着色しており、その可視吸収スペクトルは置換基に顕著に依存している。一方、可視吸収スペクトルと分子量との対応は明確でない。置換基による共役系に体する立体障害も示唆された。以上のように、結晶場を利用した固相放射線重合による機能性高分子の合成とその物性に関する知見が得られた。
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[Publications] Y.Kai・A.Yamamoto・D.Xu・N.Kasai・M.Hagihara・Y.Yamamoto・S.Takahashi・K.Hayashi: Makromol.Chem.188. 3047-3059 (1987)
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[Publications] Y.Chikai・Y.Yamamoto・K.Hayashi: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 2281-2285 (1988)
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[Publications] Y.Yamamoto・T.Aoyama・K.Hayashi: J.Chem.Soc.,Faraday Trans.1. 84. 2209-2214 (1988)
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[Publications] T.Otsuka・Y.Yamamoto・K.Hayashi: J.Polym.Sci.,Polym.Lett.Ed.26. 481-483 (1988)
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[Publications] X.-H.Ma・Y.Yamamoto・K.Hayashi: J.Org.Chem.53. 5443-5445 (1988)
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[Publications] X.-H.Ma・Y.Yamamoto・K.Hayashi: Macromolecules. 22. (1989)