1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63630004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上村 〓 東京大学, 理学部, 教授 (60011475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 曉 東京大学, 物性研, 教授 (70013464)
時弘 哲治 東京大学, 工学部, 助手 (10163966)
上田 和夫 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (70114395)
阿部 龍蔵 東京大学, 教養学部, 教授 (90012202)
青木 秀夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50114351)
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Keywords | 準結晶 / 電子構造 / 自己相似 / 局在状態 / 量子拡散 / コンダクタンスゆらぎ / ペンローズ格子 / 繰り込み群 |
Research Abstract |
本年度は、準結晶の電子状態と原子構造の基礎に関して、研究分担者が互いに密接な連絡をとり、研究会においても議論を行い、以下のような重要な結果を得た。 1.準結晶における波動関数 準結晶の電子状態に関して、その波動関数の様相は基本的な問題である。平本は一次元準周期系の波動関数の局在及び量子拡散の問題を調べ、従来の局在とは異なる特異な臨界状態と拡散を見出した。常次・上田は二次元準結晶の伝導を調べ、大きなゆらぎの存在を見出した。合田も伝導度のゆらぎを詳しく解析した。 2.準結晶の波動関数の厳密解 準結晶の特異性を明確にするにはその厳密解が有用と考えられるが、時弘は或る一次元準結晶の厳密解を求めることに成功し、そのマルチ・フラクタル次元を解析した。さらに二次元、三次元ペンローズ格子の有限状態を解析した。 3.磁場中の準結晶の電子構造 準結晶の電子構造の特徴は、磁場をかけることにより、さらに特異性を現すと考えられる。畠山・上村は磁場中のペンローズ格子の電子状態を求め、そのエネルギー・スペクトルの特徴を明らかにした。青木はさらに、自己相似性の効果を調べるためにホール伝導度を調べ、特異な量子ボール効果のゆらぎを見出した。 4.準結晶の繰り込み群による解析 自己相似性をもつ準結晶に対しては、繰り込み群の手法が適していると考えられる。堂寺はフィボナッチ系をこの方法で解析し、特徴的な多項式との対応を得た。 5.準結晶のフェイゾンと構造因子 準結晶を調べるには、先ずこの構造のキャラクタリゼーションが不可欠である。石井準結晶中のフェイゾンの自由度のモード・ロッキングによる変調を解析し、正20面体対称性からのずれを明らかにした。山口は準結晶の構造因子を解析し、クラスター構造との対応を明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H. Tsunetsugu,;K. Ueda.: Phys. Rev. B. 38. 10109-10113 (1988)
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[Publications] H. Hiramoto,; S. Abe,: J. Phys. Soc. Japan. 57. 1365-1371 (1988)
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[Publications] T. Tokohiro,; T. Fujiwara,; M. Arai: Phys. Rev. B.38. 5981-5987 (1988)
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[Publications] T. Hatakeyama,; H. Kamimura: J. Phys. Soc. Japan. 58. 260-268 (1989)
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[Publications] Y. Eshii: Acta Crystallogr.A44. 987-998 (1988)
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[Publications] T. Dotera: Phys. Rev. B. 38. 11534-11542 (1988)