1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63631009
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森 克徳 富山大学, 教養部, 教授 (70018993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能登 宏七 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40005898)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 熱伝導度の温度依存性 / 熱伝導度の磁場依存性 |
Research Abstract |
酸化物高温超伝導体における熱伝導度の温度依存性と磁場依存を測定した。試料はGdBa_2Cu_3O_<7.12>(GBCO)、YBa_2Cu_3O_<7-y>(YBCO7)、YBa_2Cu_3O_<6.26>(YBCO6)およびBi_<1.5>Pb_<0.6>Sr_2Ca_2Cu_2O_<10>(BPSCCO)の4種類で固相反応法により作製された。X線回析によりGBCO7、YBCO7、およびYBCO6、は単相、BPSCCOは多相になっていた。比抵抗測定による超伝導遷移温度TcendはGBCO7、YBCO6に対して94K、BPSCCOに対しては104Kでシャープな遷移を示した。YBCO6は超伝導を示さず半導体的な温度依存性を示した。これらの試料の比抵抗ρ(T)および熱伝導度κ(T)とGBCO7に対してのみであるがκの磁場依存性(0〜3kOe)を測定し以下の知見を得た。 1.ρ(T)より電子熱伝導度κeを評価したが実測値κの20%以下である。従って、フォノン熱伝導度κgの寄与が支配的である。 2.GBCO7、YBCO7およびBPSCCOはTc以下でκ(T)に増大を示すがYBCO6では増大は見られず単調に減少していく。Tc以下でのκの増大はフォノンの電子による散乱が減少したことによる。 3.GBCO7は2.2Kにネール温度を持ち、2.2K以下では超伝導相と反強磁場性相が共存する。このことがκ(T)にも反映され2.2K付近でκ(T)に異常が見られる。2.2K以下ではマグノンの熱伝導があると思われる。 4.GBCO7のκgの磁場変化は従来の金属超伝導体と似た振舞いを示し、下部臨界磁場Hc_1が存在する。磁束線が侵入し始めるとフォノンと磁束線の相互作用のため熱抵抗が生じκは減少する。しかし、この減少の割合は2%位で小さい。 5.材料としてみた時のκの値はステンレス鋼と同程度の大きさである。今後は良質な試料を用いての熱伝導度のデータを集績し超伝導の発現機構に関する手掛りを得たい。また、κの磁場依存性をより高い磁場中で測定し、フォノンと磁束線の相互作用に関する知見を得る計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Mori: Physica C. 153ー155. 1515-1516 (1988)
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[Publications] K.Noto: Adv.Cryo.Engin.Mat.,. (1988)
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[Publications] K.Noto: Cryogenics. (1988)
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[Publications] K.Mori: Pbysica C. (1989)