1988 Fiscal Year Annual Research Report
反応性プラズマ中、多原子分子・低速電子の衝突励起過程
Project/Area Number |
63632011
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田中 大 上智大学, 理工学部, 助教授 (20119134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 浩史 お茶の水大学, 理学部, 助教授 (10017197)
L Boesten 上智大学, 理工学部, 講師 (10119141)
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Keywords | 反応プラズマ / 多原子分子 / 低速電子 / 衝突励起 |
Research Abstract |
十分に制御されたプラズマを達成するには、原子分子レベルでの反応機構の物理化学的な体系化が必要である。本研究は、プラズマ気相反応での"トリガー役となる低エネルギー電子"と"原料ガス(CーH系、SiーH系)分子"との衝突による一次反応過程での弾性散乱、非弾性散乱素過程の衝突断面積の定量測定を目的としている。今年度は、(1)反応性原料ガスに対する装置への被毒及び安全対策(差動排気装置)、(2)データの計測処理の能率の向上(計測装置)、(3)測定値の規格化方法の改良、等の計画を予定通り実行し、以下の成果を得た。 入射電子のエネルギー領域:2〜100eV、散乱角:10〜130°、分解能:25〜50meV、±1.5°の実験条件で、(a)弾性散乱微分断面積(DCS):HeーDCSに規格化することで、C_2H_6、C_3H_8、SiH_4、Si_2H_6の絶対測定、(b)弾性散乱積分断面積をDCSから算出し、全断面積に占める割合を決定した。(c)振動励起についても、上記(a)(b)を行った、(d)弾性散乱及び振動励起過程に起こる形状共鳴(負イオン)状態の検出:C_2H_6(7.5eV)、C_3H_8(7.5eV)、SiH_4(2.5eV)、(e)電子状態励起断面積とそのしきい位置近傍の三重励起状態の存在を初めて観測した。(f)x_α法による多原子分子・電子衝突理論計算も可能になり、SiH_4、Si_2H_6に応用した。以上、第一段階として、プラズマモデリングに必要ないくつかの断面積が決定できたと同時に、物理化学的に興味ある、多原子分子における共鳴状態、三重励起状態等の知見も得ることができた。 今後、GeーH系、その他原料ガス分子についても同様な測定を行う。また、現有の質量分析系を上記改良された電子分光系に結合し、反応生成物を調べることで、解離性付着と共鳴状態の動的過程の研究へと発展させる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Tanaka: J.Phys.B:At.Mol.Opt.Phys.21. 1255-1263 (1988)
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[Publications] M.A.Dillon.: J.Chem.Phys.88. 4320-4323 (1988)
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[Publications] H.Tanaka: J.Phys.B:At.Mol.Opt.Phys.(1989)
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[Publications] L.Boesten: J.Phys.D.
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[Publications] H.Sato: Chem.Phys.Letters. 18. 21-25 (1988)