1988 Fiscal Year Annual Research Report
反応性プラズマの初期過渡状態の解析と制御に関する研究
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63632523
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中山 喜萬 大阪府立大学, 工学部, 講師 (20128771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 和樹 大阪府立大学, 工学部, 助手 (80201151)
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Keywords | 反応性プラズマ / 過渡状態 / シラン / 発光分光分析 / 質量分析 / プラズマCVD / 非晶質半導体 / 超格子 |
Research Abstract |
本研究は、SiH_4はじめとする薄膜形成用ガスを用いた反応性プラズマの初期過渡状態について、系統的にプラズマ生成条件との因果関係を把握し、プラズマの成長機構の解明と制御法の確立を図ることを目的とする。本年度は、発光分光分析に加え質量分析が行えるよう装置を整備し、SiH_4の高周波(13.56MHz)プラズマについて研究を進め下記の成果を得た。 1.プラズマ領域内のSiH_4とH_2の初期密度変化は、秒オーダの過渡時間を持つが、この時間は、主に分子のドリフトと拡散に依存し、SiH_4流量、圧力、プラズマ領域と非プラズマ領域の容積比によって決まる。SiH_4とH_2の密度比の変化から、SiH_4の直接解離生成物は主にSiH_2であるが、2次反応によって系全体としてSiH_3が最も多く存在することが分かった。 2.発光種SiH^*の発光強度がSiH_4密度に比例するとして見積もった高エネルギー(8.9eV)電子の初期密度変化から、次のことが分かった。SiH_4のような解離性ガス中では、電子のエネルギーは大部分ガス分子の解離に消費されるため、非解離性ガスの場合に比して、高エネルギー電子の増殖に長時間を必要とし、低電力では秒オーダにも及ぶ。 3.イオン種Hn^+、SimHn^+によるイオン電流の初期過渡状態は、条件によるが数秒から数十秒の長時間に及ぶ。測定系の妥当性は、過渡状態がイオン抽出口に引加したバイアス電圧に依存しないこと、Heプラズマの場合、He^*、He^+共にステップ応答することにより確認した。また、抽出口に浮動電位変化がイオン電流の過渡変化に対応することから、イオン電流は抽出口付近のイオン密度を反映したものと結論できる。しかし、この過渡状態の原因は不明で、この点については今後の課題である。 関連研究として、a-Si:H/aSi_3N_4H超格子製作における初期プラズマの効果を、界面構造の観点から明らかにし、初期プラズマ中の膜厚制御法と初期プラズマの有効利用の可能性も併せて示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Nakayama;T.Takehashi;T.Kawamura: Philosophical Magazine.
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[Publications] T.Takahashi;K.Watanabe;Y.Nakayama;T.Kawamura: Proceeding of the 6th Symposium on Plasma Processing,Kyoto 1989. 494-497 (1989)
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[Publications] 中山喜萬,脇田和樹,高橋利也,渡辺賢一,河村孝夫: 1989年春季 第36回応用物理学関係連合講演会 予稿集.