1988 Fiscal Year Annual Research Report
パルスラジオリシス・マイクロ波加熱法による亜励起電子を含む気相素反応過程の研究
Project/Area Number |
63632528
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
嶋森 洋 福井工業大学, 工学部, 助教授 (80139815)
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Keywords | パルスラジオリシス / マイクロ波空洞 / マイクロ波加熱 / 電子付着 / 二酸化イオウ / 四塩化炭素 / クロロホルム / 熱電子 / 亜励起電子 |
Research Abstract |
本研究は、パルスラジオリシス・マイクロ波空洞法を適用することにより、主に電子の関与する素反応過程を対象として、その反応パラメータの決定と反応機構の解明、およびそれらの電子エネルギー依存性について調べることを目的にしている。本年度は(i)従来のパルスラジオリシス・マイクロ波空洞法を用い、SO_2の熱電子付着反応機構を解明すること、(ii)これまでこの手法で対象とした電子のエネルギーが主に熱エネルギーであるという制約を取り去る目的で、さらにマイクロ波加熱を利用して電子エネルギーを増大させる試み、について行った。まず、(i)については、純SO_2系・SO_2-M系(M:N_2,n-C_4H_<10>,CO_2)系を対象として、SO_2の熱電子付着速度の圧力及び温度依存生を調べ、その付着機構の詳細について検討したが、その結果、媒体気体の圧力領域によって、寿命の違う二種の振動励起負イオンを経る二段階三体過程の組合せとして全体の電子付着機構が理解できることが示された。(ii)については検出感度の点からXeを媒体気体に選び、その運動量移行断面積におけるラムザウアー極少を反映するマイクロ波電気伝導度信号の時間変化とマイクロ波加熱電力との関係を調べて平均電子エネルギーとの対応づけを行った。その結果約2ev程度まで平均電子エネルギーが可変であることがわかり、それによりCCl_4ならびにCHCl_3の電子付着速度定数の電子エネルギー依存性に関する知見を得た。いずれも所期の目的は達成することはできたが、さらに(i)においては温度依存性のデータ不足によりファンデアワールス分子の寄与について明確な結論が出せなかったこと、また(ii)では加熱マイクロ波電力と平均電子エネルギーとの正確な対応には約0.1〜0.2ev程度の曖昧さが存在することが課題として残された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Shimamori.;Y.Nakatani: Chem.Phys.Letters. 150. 109-112 (1988)
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[Publications] H.Shimamori.;H.Hotta: J.Chem.Phys.89. 2938-2942 (1988)
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[Publications] H.Shimamori.;Y.Nakatani;H.Hotta: J.Chem.Phys.90. 232-236 (1989)
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[Publications] H.Shimamori.;E.Suzuki;Y.Hatano;H.Nonaka;Y.Ohshima;T.Kondow;K.Kuchitsu: J.Chem.Phys.