1988 Fiscal Year Annual Research Report
光イオン化質量分析法を用いた非発光ラジカルの測定と反応の研究
Project/Area Number |
63632529
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
鷲田 伸明 国立公害研究所, 大気環境部大気化学研究室, 室長 (70101045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 元 国立公害研究所, 大気環境部大気化学研究室, 主任研究員 (70101053)
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Keywords | フリーラジカル / ジメチルシリレンラジカル / ジメチルシリルラジカル / 光イオン化 / 質量分析法 / 反応速度 / レーザー光分解 / エキシマーレーザー |
Research Abstract |
反応性プラズマの主役の一つはフリーラジカルであり、プラズマ中のフリーラジカルの種類や濃度を測定する事、またラジカルと他の気体あるいはラジカル同志の反応速度や反応機構を決定する事は、反応性プラズマを理解する上で極めて重要である。本研究においては1)、測定が非破壊的である2)、非発光ラジカルを含めて、原子から多原子ラジカルまで測定できる方法として、光イオン化質量分析法を用いてSiを含む新しいフリーラジカルの検出とその反応速度の測定に成功した。光イオン化法の特徴としては1)、分子をフラグメンテーション無しにイオン化する事ができる2)、一般にフリーラジカルのイオン化電圧はその親分子のイオン化電圧より低いため、フリーラジカルのみを選択的にイオン化する事ができる点にある。本年度はエキシマーレーザーを用いたレーザー内光光分解でフリーラジカルを生成させ、その反応ガスをパイレックス製ピンホールを通してイオン化室にサンプリングし、キセノンの共鳴線(8.44ev)を用いてラジカルをイオン化し、四重極質量分析計と検出器によってイオンを検出する事により、フリーラジカルの検出と同時に反応速度を測定することが出来る装置を完成させた。例としてはジメチルフェニルツランをArFエキシマーレーザーで光解離させ、(CH_3)_2Siおよび(CH_2)_2SiHの二種類のラジカルをキセノンの共鳴線でイオン化し検出することが出来た。さらに反応系にO_2を添加する事により、その消滅速度の測定からO_2との反応速度が各々、(2.92±0.96)×10^<-11>、、(2.71±0.88)×10^<-11>cm^3molecule^<-1>sec^<-1>と決定することが出来た。その他の気体、H_2、CH_4、C_2H_4等については反応が極めて遅く、反応速度の上限しか決定できなかった。これらの測定はこれまで例が無く、初めての測定結果である。今後はこの方法により、多数のフリーラジカルの反応速度(温度依存製を含めた)の測定を行う予定である。
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