1988 Fiscal Year Annual Research Report
知的コミュニケーションのための高次推論と認知プロセスの研究
Project/Area Number |
63633515
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 順一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00029456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝 大阪大学, 産業科学研究所, 職務職員 (80180371)
上原 邦昭 大阪大学, 産業科学研究所, 講師 (60160206)
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Keywords | プランニング / 文章生成 / ユーザモデル / 焦点 / マニュアルシステム / 対話 |
Research Abstract |
本年度は、ユーザが入力した質問に対して一貫した説明文を生成するマニュアルレスシステムASSISTを開発した。ASSISTの特徴としては以下の3点がある。(1)対話状況に応じて動的に説明内容を変更するために、説明文生成プランニングと呼ぶ手法を開発した。説明文生成プランニングにおけるゴールとは、読み手の疑問を解消できるような説明文を生成することである、ゴールを達成するためのプランは、説明文の内容や順序を規定した一連の手続きに対応している。ASSISTは、説明の手順を形式的に記述したオペレータ集合を利用して、ゴールをサブゴール列に展開しながらプランニングを進めている。オペレータはプランニングメカニズムと分離されているために、本手法は、説明の手順の追加や修正、システム拡張などが容易にできるという利点がある。(2)個々のユーザの知識レベルに合わせた文章を生成するためには、説明に使用する概念をユーザが知っているかどうかを推論しなければならない。ASSISTでは、平均的なユーザの知識状態を表すデフォルトモデルと、個々のユーザーの知識状態とデフォルトモデルとの差異を表す個人モデルからなる、ユーザモデルを導入してユーザの知識レベルを推論している。また、ユーザモデルを利用してユーザの知識の欠落を推定するためには、Shapiroの提案したプログラム診断システムPDSを利用して、UMIと呼ぶユーザモデルインタプリタを開発している。(3)説明文生成プランニングによって得られる結果には、システムが生成すべき説明内容と、その順序を規定する情報のみが含まれている。これらの情報化ら、つながりのある読みやすい文章を生成するために、Sidnerらが提案した焦点の概念を導入していてる。焦点の推移過程は、現在の焦点を蓄えるレジスタCF、次文で焦点となりうる概念を蓄えるリストPFL、以前の焦点を蓄えるためのスタックFSからなる3つのデータ構造を用いて管理している。
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[Publications] 豊田順一: 情報処理. 29. 1266-1274 (1988)
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[Publications] 垣内隆志: 人工知能学会誌. 4. 185-195 (1989)
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[Publications] 硴崎賢一: 情報処理学会論文誌.
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[Publications] 松元貴志: 人工知能学会ヒューマンインタフェースと認知モデル研究会資料. 8804-2. (1989)
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[Publications] 上原龍也: 電子情報通信学会言語処理とコミュニケーション研究会資料. 88-24. (1989)
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[Publications] K.Uehara: Expert Systems in Japan.
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[Publications] 豊田順一: "人工知能" 昭晃堂, (1988)
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[Publications] 豊田順一: "知識情報処理ハンドブック「多元的情報を担う文書画像の理解システムに関する研究」" オーム社, 57-62 (1988)