1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63636506
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
竹下 正純 大分医科大学, 医学部, 教授 (50019551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 敏 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50158440)
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Keywords | 高血圧自然発症ラット / フーリエ赤外分光法 / 動脈壁 / 低酸素障害 / パルミトレイン酸 / 脂肪酸伸長系 / パルミトレイン酸-CoA / 脂肪酸代謝調節 |
Research Abstract |
高血圧自然発症ラット(SHR)動脈壁の低酸素による障害に対するパルミトレイン酸(16:1)の作用をフーリエ赤外分光法(FT-IR)によって検討した。この方法により、動脈壁そのものをすり潰すことなく、赤外吸収スペクトルを測定できるようになった。動脈壁の糖質膜脂肪酸メチレン基の対称伸縮振動由来の赤外吸収は、7週令の対照WKYラットでは大気中で2852.4cm^<-1>に見出された。SHRラットではこれが0.3cm^<-1>低波数側にシフトしており、SHRでは少々固い膜になっていることがわかる。低酸素の効果をみると、WKYでは、以上の条件したでは、膜の柔らかさに変化はみられないが、SHRでは低酸素において7週令と11週令で各々0.2cm^<-1>と0.3cm^<-1>高波数側にシフトし、膜が柔らかくなったことを示す。SHRでは、軽度の高血圧である7週令でも低酸素化に対して大きく変化を受けることを示している。16:1の存在下では、WKYでも0.1cm^<-1>高波数シフトし、少々柔らかい膜になる。SHRの場合、11週令で大気中の16:1添加で逆に固く(0.2cm^<-1>低波数側シフト)なり、anoxia中では16:1添加で0.1cm^<-1>分柔らかくなった。一方、走査電顕上の観察では、WKYではどの条件下でも内壁に形態変化は出ないが、SHRのときにanoxiaで内壁の乱れが顕著であり、16:1の添加では乱れは低く抑えられていた。この乱れは内皮細胞の膨潤によるものと思われる。 更に、動脈壁細胞の脂肪酸伸長系に対する16:1-CoAの作用について調べた。ブタの胸部大動脈内皮および平滑筋細胞ミクロソームによるパルミチン酸-CoA伸長反応系を確立した。この系に対し16:1-CoAを添加したところ、40μM(基質と同濃度)まで量依存的に飽和脂肪酸伸長活性を抑制した。従って、16:1の動脈壁への作用が脂肪酸代謝調節を介している可能性があり、この本態を合わせて明らかにして行く。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yoshida,Satoshi: Biochimica et Biophysica Acta. 958. 361-367 (1988)
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[Publications] Saitoh,Toshihito: Biochimica et Biophysica Acta. 960. 410-416 (1988)
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[Publications] Saitoh,Toshihito: Biochemistry International. 16. 671-678 (1988)
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[Publications] Yoshida,Satoshi: Biochimica et Biophysica Acta. (1989)
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[Publications] Takeshita,Masazumi: Neurochemistry International. (1989)
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[Publications] Yoshida,Satoshi: Journal of Biological Chemistry. (1989)
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[Publications] 竹下正純: "ペルオキシゾームと神経疾患:長鎖脂肪酸の合成系" 科学評論社, (1989)
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[Publications] 竹下正純: "広範囲血液・尿化学検査、免疫学的検査-その数値をどう読むか" 日本臨床社, (1989)