1988 Fiscal Year Annual Research Report
カリクレインにより血中で生成されるPGI_2産生促進ペプチドの分離同定と作用機構
Project/Area Number |
63637502
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
室田 誠逸 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (50072989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 育男 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (60100129)
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Keywords | プロスタサイクリン / PGI_2 / 血管内皮細胞 / カリクレイン |
Research Abstract |
プロスタサイクリン(PGI_2)は、血管内皮細胞が産生するアラキドン酸代謝物で、きわめて強い血小板凝集抑制作用をもっている。これまでの多くの研究から、PGI_2は内因性の動脈硬化予防因子であると考えられる。生体内におけるPGI_2の生成が如何なる機序で調節されているのかを知るために、血管内皮細胞の培養系を用いて検討を行った。ウシ頚動脈由来の内皮細胞を10%の仔胎児血清を含む培養液で培養した。この培養系にブラジキニンやヒスタミン、トロンビンなどを添加すると、血管内皮細胞が刺激され、ホスホリパーゼA_2の活性化、ついで細胞膜からアラキドン酸の遊離が起こり、その結果としてPGI_2産生が促進される。カリクレインは血中に存在するキニノーゲンに働いてブラジキニンを産生させる酵素であるが、薬剤として用いると末梢循環改善作用があるため、実際に臨床の場で用いられている。本研究において、カリクレインの培養系への添加が血管内皮細胞のPGI_2産生量を10倍以上にも高めることを見つけた。この効果は他の種類の細胞では見られず、血管内皮細胞に特有のものであった。また、カリクレインの本作用は一過性のものではなく、少なくとも24時間まで持続して認められた。カリクレインの本効果の発現には血清の存在が不可欠であることもわかった。さらに詳しく検討した結果、カリクレインが血清蛋白に働いて分子量10,000以下のペプチドを産生し、そのペプチドに血管内皮細胞のPGI_2産生促進作用のあることが判明した。HPLCによる分析の結果、このペプチドはプラジキニンやカリジン、サブスタンスP、Des、Argブラジキニンなど、既知のペプチドとは異なるものであることがわかった。目下、この未知のペプチドの構造決定を行っている。
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[Publications] T.Watanabe;I.Morita;H.Nishi;S.Murota: PG.LT.EFA.33. 81-87 (1988)
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[Publications] K.Noguchi;I.Morita;I.Ishikawa;S.Murota: PG.LT.EFA.33. 137-141 (1988)
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[Publications] Y.Baba;I.Morita;T.Susami;T.Kuroda;S.Murota: BIOCHIM.BIOPHYS.ACTA.960. 67-72 (1988)
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[Publications] M.Abe;I.Morita;S.Murota: PC.LT.EFA.34. 69-74 (1988)
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[Publications] K.Noguchi;I.Morita;S.Murota: ARCHS.ORAL.BIOL.34. 37-41 (1989)
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[Publications] Y.Suzuki;I.Morita;Y.Yamane;S.Murota: J.BONE MIN.RES.4. 29-35 (1989)
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[Publications] I.Morita;S.Murota: "Liver prostanoids PROSTAGLANDINS-BIOLOGY AND CHEMISTRY OF PROSTAGLANDINS AND RELATED EICOSANOIDS" Chrchill-Livingstone, 311-322 (1988)
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[Publications] S.Murota;I.Morita;K.Kato: "An in vitro assay system for measuring both vascular permebility and endothelial cell damege ROLE OF BLOOD FLOW IN ATHEROCLEROSIS" Springer-Verlag, 223-229 (1988)