1988 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス発芽を利用したニューロン間選択的結合の形成機構の研究
Project/Area Number |
63638510
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (20089882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝丸 博信 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (40183264)
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Keywords | シナプス発芽 / ニューロン / 選択的結合 / 体部位局在 / ネコ / 大脳 / 赤核 |
Research Abstract |
神経回路形成時の結合選択性の中で重要なものとして体部位局在及び細胞表面上のシナプスの位置の特異性が挙げられる。最近我々は、(1)生後1ケ月程度の仔ネコの大脳皮質を片側性に破壊すると、正常では皆無に等しい交差性皮質-赤核投射が発芽によって生ずること及び(2)この異常な投射が正常な同側性の大脳-赤核投射と同様の体部位局在を示し、(3)さらに正常ネコと同様な細胞表面部位特異性(シナプスが樹状突起末端部に集中して存在する)を示すことをレクチンをトレーサーとして用いた研究によって見出した。このことは生後1ケ月程度経過したネコでも、少くとも赤核においては投射の体部位局在及び細胞表面部位局在を決定する因子が発現している可能性を示唆する。本研究の目的はシナプス発芽を利用してこのような神経結合の選択性が生ずる分子機構を明らかにすることである。そこでこれらの現象に関与すると思われる分子を明らかにするための新しいバイオアッセイ法を開発した。クフイオカルチャー法と我々が呼ぶこの方法は、クライオスタットを用いて作製した脳切片上で神経細胞を培養するものであり、切片上の微量な化学物質を検出できることが期待される。我々はまずラットの脳切片上でニワトリ胚のニューロンを培養した。その結果ニューロン脳切片の灰白質の部分に強く接着してニューライトを伸展させたが、白質上ではニューロンは観察されなかった。また白質を灰白質に重ねてニューロンを培養すると、その上にニューロンは認められなかった。このことは、白質上にニューロンの接着やニューライトの伸展を抑制する因子が存在していることを示唆している。
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[Publications] Murakami,F.: Behav.Brain Res.28. 175-179 (1988)
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[Publications] Murakami,F.: Brain Res.447. 98-108 (1988)
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[Publications] Murakami,F.: Brain Res.463. 144-147 (1988)
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[Publications] Watanabe,E.: Neurosci.Lett.97. 69-74 (1989)
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[Publications] Watanabe,E.: Neurosci.
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[Publications] 村上富士夫: 脳と発達. 20. 123-128 (1988)
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[Publications] Murakami,F.: "Cellular Mechanisms of Conditioning and Behavioral Plasticity." Plenum, 21-26 (1988)
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[Publications] Murakami,F.: "Post-lesion Neural Plasticity." Springer, 527-536 (1988)