1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63638513
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
仲村 春和 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90079690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 浩二 広島大学, 医学部, 助手 (80183945)
佐藤 明直 広島大学, 医学部, 講師 (80034007)
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Keywords | ニワトリ胚 / 網膜 / 視蓋 / 投射 / 発生 / 蛍光色素 / DiI |
Research Abstract |
網膜-視蓋投射はきっちりと対応のつく投射パターンを示す。このパターンの形成は視蓋の細胞に位置特異的分子が発現されて、それを網膜線維が認識するといわれている。本研究の究極の目的は、中脳胞を90°あるいは180°回転して移植したニワトリ・ウズラ・キメラ脳を用いて、どのような視蓋の位置特異的分子が発生のどの段階で決定されるかを明らかにすることである。本年度はその目的のために網膜の小部分をラベルする方法を開発し、網膜視蓋投射の正常発生過程を研究した。 網膜の局所的ラベルにはカルボシアニン系蛍光色素DiIを用いた。網膜後部をDiIの小さな結晶でラベルすると、孵化したひよこの視蓋では吻側部に強いてポット状の蛍光が観られ、視神経線維は厳密な対応をして視蓋に投射していることがわかる。ただし。かなりの線維が、内-外側、吻-尾側方向の経路の修正を行っており、180°近く方向転換をしている線維あった。 発生を追って観察すると、孵卵9日では網膜後部からの線維は視蓋上で目的地と思われるところをはるかに越えて分布しており、側枝はなかった。内-外側にも幅広く分布していた。孵卵12-14日にはたくさんの側枝、Arborizationが見られた。Arborizationは目的地だけでなく、さらに尾方にも見られたが数は目的地付近の方が多かった。先端を目的地に向かって曲げたり、側枝を目的地に向かって出している線維も多数存在した。孵卵13-14日の視蓋では退行線維も多数存在し、孵卵15日になるとほぼ成熟した投射パターンが見られた。本研究の結果は網膜-視蓋の対応関係は、最初はわりとルーズであるが、最終的にはたいへん厳密であることを示している。網膜の一部を効率よくラベルすることができるようになったので、現在、視蓋原基を回転して移植し、視蓋の位置特異的分子の発現が発生のどの段階で決定されるかを追究中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Nakamura et al.: Develop.Growth Differ.30. 717-725 (1989)
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[Publications] 仲村春和: 京府医大誌. 98. 129-137 (1989)
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[Publications] H.Nakamura;D.D.M.O'Leary: Abst.Soc.Neurosci.,. 14. 580 (1988)
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[Publications] H.Nakamura;D.D.M.O'Leary: Neurosci.Res.in press.
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[Publications] H.Nakamura;D.D.M.O'Leary: J.Neurosci.
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[Publications] 藤沢肇,竹市雅俊 編,仲村春和: "細胞コミュニティの形成「神経冠由来細胞の可塑的分化」" 丸善, 43-57 (1989)