1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63640511
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
中込 弥男 国立小児病院, 小児医療研究センター・先天異常研究部, 部長 (30000235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中堀 豊 国立小児病院, 小児医療研究センター・先天異常研究部, 研究員 (10172389)
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Keywords | Y染色体 / X染色体 / DNA解析 / 分子生物学 / 性腺形成 / 半陰陽 / XX男性 |
Research Abstract |
Y染色体の機能は、ややもすると胎生期における未分化な性腺の睾丸側への分化の支配すなわち睾丸決定因子(TDF)のみであるかのような印象をあたえがちであるが、意外に多彩な機能をもつことが分かってきた。精子の成熟、性腺腫瘍の発生、身長の増加、歯牙の発生、細胞表面抗原などである。最近の遺伝子工学レベルの技術の進歩により、この領域についても分子レベルでの構造や機能の理解が実現する可能性が出てきた。本研究においては、Y染色体の機能のうち特に性腺分化、精子の成熟など生殖にかかわる側面に注目し、ヒトのY染色体の構造、機能、また1対の常染色体から進化したとされるXYの両染色体の類似性と差異、また霊長類を中心に進化における両染色体の行動、形成の跡を探ぐる。 我々は今年度中に、ヒトのY染色体上の22個所について、その存否をDNAレベルで決定できる態勢をととのえることに成功した。特に長腕遠位側のプローブDYZ1については、組み合わせる制限酵素を通常のHaeIIIやExoRIからStuIにかえることにより、飛躍的に検出感度を改善することに成功、現在まではYを含む細胞が5400に1個あれば検出可能なところまで来ている。この技術を用いて、XX男性であってリンパ球などではY染色体のTDF付近を検出できない例(欧米の報告では80%、我国では30%程度で検出)やXX真性半陰陽の症例について、性腺においてはごく低頻度のモザイクの型でYが存在する可能性を探ぐる。結果は、この種の症例の成因の解明にとり重要な知見となろう。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Agematsu,K.;Nakahori,Y.;Nakagome,Y.et al.: Human Genetics. 80. 105-107 (1988)
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[Publications] Kobayashi,R.;Nakahori,Y.;Nakagome,Y.et al.: Journal of Forensic Sciences. 33. 613-620 (1988)
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[Publications] Morisaki,H.;Morisaki,T.;Nakahori,Y.et al.: Americam Journal of Hematology.27. 30-33 (1988)
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[Publications] Yamada,M.;Nakagome,Y.et al.: Japanese Journal of Cancer.79. 670-673 (1988)