1988 Fiscal Year Annual Research Report
視細胞・嗅細胞の環状ヌクレオチド感受性イオンチャンネルと情報伝達機構
Project/Area Number |
63641007
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
篠沢 隆雄 群馬大学, 工学部, 助教授 (30025449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼倉 治郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30143415)
鈴木 教世 北海道大学, 理学部, 講師 (10001851)
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Keywords | 視細胞 / 嗅細胞 / 環状ヌクレオチド / イオンチャンネル / 情報伝達機構 |
Research Abstract |
脊椎動物の視細胞と嗅細胞は、シリア(せん毛)構造を有する事、他の細胞でシリア構造部分には環状ヌクレオチド合成酵素が局在する事、これらの事から視細胞と嗅細胞には環状ヌクレオチドが関与する共通な機構の存在を我々は予想した(蛋白質核酸酵素19 年)。この予想は両細胞に於いて環境ヌクレオチドがイオンチャンネルを開閉する事で情報伝達が行なわれる事の解明によって的中した。 視細胞のcGPM依存イオンチャンネル 我々が発見した分子量250KのcGMP結合蛋白質に焦点をしぼり、(1)CHAPSによる可溶化、庶糖密度勾配遠心、cAMPアガロース、によって純度約50%まで精製した。(2)250K蛋白質画分をリポソームに組込み、チャンネル活性を検出した(生物物理、28、S209、1988)。(3)アミノ末端からのアミノ酸配列をエドマン分解法で解析した。Mat-Ser-Phe-Gly-Ala-LysーVal-?-Leu-Leu……。 嗅細胞シリアのcAMP依存イオンチャンネルの解析 食用ガエルを材料として以下の進展を得た。(1)カエル嗅上皮からのCaCl_2ショック法によってシリアを分離した。ほぼ100%脱離する事を走査電顕で確認した。分離したシリアを20%、40%、60%の段階的庶糖勾配遠心法にかけ、40%と60%の界面に純度の良いシリアを回収した。(2)部分精製したシリアを超音波破砕し、膜蛋白質画分からCHAPSで可溶化した蛋白質をcAMPアガロースにかけた。吸着した蛋白質をEDTAやKClで脱着し、分子量30〜40Kの蛋白質を得た。これは、我々がすでに報告した分子量35KのcAMP結合蛋白質と考えられる。なお、SDS PAGE後の銀染色法による微量蛋白質の解析の際、DTTによるアーティファクトバンドはDTTを予め活性炭処理する事により除去できた。考察視細胞、嗅細胞の構造上の類似性を考えると、その進化的背景は興味深い。両細胞のイオンチャンネル蛋白質の構造上の共通性をその塩基配列から解析するために、チャンネル蛋白質の同定とそのmRNAやcDNAの調整が今後の課題である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Fukunata,S.;Horiguchi,H.;Iwamoto,M.;Shigenobu,Y.;Shinozawa,T.: Miocrobiol.Immunol.32. 115-117 (1988)
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[Publications] Kuo,C-H.;Tamotsu,S.;Morita,Y.;Shinozawa,T.;Miki,N.: Brain Res.442. 147-151 (1988)
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[Publications] 篠沢隆雄、松坂浩、鈴木教世: 生理物理. 28. 152-155 (1988)
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[Publications] Salehi,S.A.;Takagi,M.;Shinozawa,T.;Matsuura,T.: J.J.Physiol.
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[Publications] Suzuki,N.: In Chemical Senses:Molecular Aspects of Taste and oder Reception.Eds.Brand, J.G.,Teeter,J.H.,Cagan,R.H.and CAre,M.R.,Marcel Dekker,New York.
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[Publications] Usukura,J.;Faine,G.L.;Bok,D.: Invest.Opthal.Vis.Sci.29. 606-614 (1988)
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[Publications] 篠沢隆雄、福永晋哉、山下伸典: "3'、5'サイクリックヌクレオチド「情報生物シリーズ II.神経情報伝達分子」葛西道生、吉岡享、木島博正、塚原保夫、栗原堅三、鈴木英雄 共編" 培風館, 61-71 (1988)
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[Publications] 曽我部正浩、篠沢隆雄: "cGMP依存性カチオンチャネルの精製と再編成「蛋白質 核酸 酵素」" 共立出版,