1988 Fiscal Year Annual Research Report
イトマキヒトデ卵母細胞の核ならびに細胞表層の成熟におけるGTP
Project/Area Number |
63641509
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星 元紀 東京工業大学, 理学部, 教授 (20012411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢田 均 東京工業大学, 理学部, 助教授 (60158946)
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Keywords | イトマキヒトデ / 1-メチルアデニン / 卵核胞崩壊 / MPF / GTP結合タンパク質 / 百日ゼキ毒素 / ADPリボシル化 / GDP-β-S |
Research Abstract |
イトマキヒトデ卵母細胞は、その周りの濾胞細胞から分泌された1-メチルアデニン(1-MA)に、トランスメンブランコントロール系を介して反応し、中断していた減数分裂を再開(卵成熟)する。GTP-γ-S、GDP-β-S、百日ゼキ毒素(PTX)、コレラ毒素等を細胞内注射した卵母細胞が、1-MAに反応して減数分裂を再開するか否かを卵核胞崩壊の有無により、また、このような卵母細胞が受精したときに表層粒の開口分泌が起るか否かを受精膜形成の有無によりそれぞれ調べ、まず次の結論を得た。 1.1-MAの受容から卵核胞崩壊にいたる情報伝達系にPTX感受性のGTP結合タンパク質が関与している。 2.表層粒の開口分泌にもGTP結合タンパク質が関与している。 3.前者に関与するGTP結合タンパク質は、おそらくGi型のものであり、後者に関与するものとは異なっている。 ついで、1-MAの情報伝達系に関わるGTP結合タンパク質が作用するのは、MPF(Maturation Promoting Factor)形成の前であるか否かを検討した。PTXを注射して1-MAによる卵核胞崩壊を抑えた卵母細胞に、さらにMPF(成熟中の卵母細胞の細胞質)を注射したところ、卵核胞が崩壊したので、次のように結論された。 4.PTX感受性のGTP結合タンパク質は、1-MAの受容からMPFの形成にいたる過程に関与している。 さらに、卵母細胞の表層を単離し、PTXによってADPリボシル化されるタンパク質が存在するか否かを検索し、次の結論が得られた。 5.卵母細胞表層には、分子量約39KDaのPTX感受性GTP結合タンパク質が存在する。 以上より、1-MAの受容からMPF形成にいたる情報伝達系には、PTX感受性、分子量約39KDaのGTP結合タンパク質が関与していると結論された。
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[Publications] H.Kubo;A.Irie;F.Inagaki;M.Hoshi: J.Biochem.104. 755-760 (1988)
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[Publications] M.Hoshi;T.Matsui;I.Nishiyama;T.Amano;Y.Okita: Cell Differ.Develop.25 Suppl. 19-24 (1988)
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[Publications] F.Shilling;K.Chiba;M.Hoshi;T.Kishimoto;L.A.Jaffe: Dev.Biol.
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[Publications] M.T.Sawada;T.Someno;M.Hoshi;H.Sawada: Dev.Biol.