1988 Fiscal Year Annual Research Report
GTP結合蛋白質の内在性モノ(ADP-リボシル)化による細胞情報伝達系の調節
Project/Area Number |
63641533
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
田沼 靖一 帝京大学, 薬学部, 助手 (10142449)
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Keywords | モノ(ADP-リボシル)化 / GTP結合蛋白質 / アデニレートシクラーゼ / モノ(ADP-リボシル)トランスフェラーゼ / トランスメンブランコントロール |
Research Abstract |
種々の真核細胞に内在性のモノ(ADP-リボシル)トランスフェラーゼ(C)が存在することを見出し、その分離精製を行なった。このトランスフェラーゼCの分子量は28000であり、アデニレートシクラーゼ系に介在する抑制性GTP結合蛋白質(Gi)のαサブユニットのシステイン残基をモノ(ADP-リボシル)化する。この酵素の生理的役割を理解する一環として、ヒト血小板膜に存在するα_2-アドレナリン受容体を介するアデニレートシクラーゼ抑制系への影響について検討を行なった。ヒト血小板膜をADP-リボシルトランスフェラーゼCにより前処理しておくと、エピネフリン(α_2-アドレナリン受容体を介してアデニレートシクラーゼ活性を抑制する)による抑制シグナルの伝達が遮断され、アデニレートシクラーゼ活性の抑制が減弱した。この減弱効果はADP-リボシルトランスフェラーゼCによるGiαのモノ(ADP-リボシル)化と極めてよく相関した。また、この減弱効果はADP-リボシルトランスフェラーゼCの阻害剤であるニコチンアミドの添加により濃度依存的に阻害された。従って、ADP-リボシルトランスフェラーゼCはGiαのモノ(ADP-リボシル化)化を介してアデニレートシクラーゼの抑制系を抑制的に調節すると考えられる。次に、ADP-リボシルトランスフェラーゼCによるGiαのモノ(ADP-リボシル)化がGsを介するアデニレートシクラーゼ促進系にどの様な影響を与えるかについて検討を行なった。しかし、PGE_1によるGsを介するアデニレートシクラーゼ活性の上昇には何ら変化は見られなかった。現在、このADP-リボシルトランスフェラーゼCの部分アミノ酸配列の決定およびその遺伝子構造の解析について研究を進めている。
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[Publications] Sei-iche Tanuma,et al.: J.Biol.Chem.263. 5485-5489 (1988)
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[Publications] Sei-ichi Tanuma: Niacin nutrition,ADP-ribosylation and cancer. 119-124 (1988)
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[Publications] 田沼靖一: 実験医学. 6. 447-449 (1988)
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[Publications] Sei-ichi Tanuma,etl al.: Biochim.Biophys.Acta. 1010. 246-249 (1989)
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[Publications] Sei-ichi Tanuma,et al.: Biochem.Int.(1989)