1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63641534
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
笠原 道弘 帝京大学, 医学部, 教授 (40010102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 治 国立栄養研病態栄養部, 研究員
塩森 継紀 帝京大学, 医学部, 助手
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Keywords | インスリン / インスリン受容体 / 糖輸送 / 糖輸送体 / 免疫沈澱 / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
インスリン受容体などのチロシン・キナーゼ活性をもつ受容体の場合情報伝達の中間段階については全くといいほどわかってない。特にインスリンについては確固としたセコンドメッセンジャーは見出されてない。本研究ではインスリン受容から糖輸送活性上昇に至る情報伝達をとりあげ、情報伝達におけるインスリン受容体と糖輸送体の動態を中心にラット脂肪細胞を用いて調べ以下の結果を得た。 1)糖輸送体に対する抗体を用い、粗ミクロゾーム分画中の小胞に存在する糖輸送体とインスリン受容体の局在性を免疫沈澱により調べた。糖輸送体をもつ小胞の80%以上が沈澱する条件で、インスリン受容体の40%以上が共沈した。非特異的な共沈でないことはコントロールIgGにより沈澱しないこと、加える抗糖輸送体IgG量に対し飽和現象があり40%以上は沈澱しないこと、再び糖輸送体小胞を加え免疫沈澱を行なっても受容体は沈澱しないことから確めた。 2)このようにして沈澱した小胞は特異的なタンパク質を持っていることが、SDS電気泳動像からわかった。この特異的なタンパク質はインスリンを加えると減少し、糖輸送体小胞にあると考えられる。 3)キモトリプシン基質アナログであるBTEE及びATEEがインスリン受容体のチロシンリン酸化を阻害し、情報伝達の初期過程に働いていることがわかった。受容体の内在化及び糖輸送活性の上昇も0.2-0.6mMが50%阻害濃度であった。 4)トリプシン阻害剤のTLCKがインスリンによる糖輸送活性の上昇を阻害したがチロシンリン酸化は阻害せず、阻害の場所はATEE、BTEEと異なっていた。 以上インスリン作用の細胞内情報伝達の初期過程について多くの情報をうることができ、以後の過程の研究に重要な手がかりを得た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tadashi,Seguchi: J.Cell Physiol.in press.
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[Publications] Osamu Ezaki: Biochem.Biophys.Res.Commun.in press.
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[Publications] 笠原敏子: 生化学. 60. 676 (1988)
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[Publications] 笠原道弘: 生体の科学. 39. 584-587 (1988)
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[Publications] 笠原道弘: "リポソーム" 南江堂, 417