1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63770556
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Research Institution | School of Allied Health Professions Sapporo Medical College |
Principal Investigator |
菊池 進 札幌医科大学, 衛生短期大学部・作業療法学科, 講師 (40201454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 博之 札幌医科大学, リハビリテーション部, 助教授 (80106476)
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Keywords | 中心性脳橋融髄症 / 脱髄 / 低Na血症 / 体性感覚誘発電位 / vasopressin / 浸透圧 |
Research Abstract |
1.実験モデルの作製:雄ラットに3日間、0.5単位/100g体重のvasopressin tannateを皮下注、同時に体重の5%相当量の2.5%glucoseを腹腔内投与し低Na血症とした。第4・5日に1MNaClを2ml/100g体重腹腔内投与し低Na血症を補正し、第6・7日に状態変化を観察した後、第8日に断頭し組織所見を検討した。 2.神経症状:第1〜3日の低Na血症期には著明な変化はみられなかった。第4日、1MNaCl投与直後より全身痙攣、毛の粗糊化、体重減少(平均-15%)、音および痛覚刺激に対する過敏性、後肢により強い痙性、失調歩行などを認めた。第8日以前に16%のラットが死亡した。 3.組織所見:10%ホルマリン固定の後、髄鞘染色(KluverーBarrera)を行った。線状体、外包、前交連、視床、中脳に強い脱髄を認めた。橋の変化は明らかではなくヒトにおける病変分布と必ずしも一致しなかった。 4.血清電解質浸透圧の変化:第1日ではNa142±5.0mEq/l、K4.2±0.5、Cl97.0±7.1、浸透圧292±8mOsm/kgH_2Oであった。第4日には低Na血症(111±11.0mEq/l)、低浸透圧血症(244±18mOsm/kgH_2O)を呈した。第8日にはNa140±9、浸透圧298±14と正常値に回復していた。K、Clは経過を通じて有意の変化を認めなかった。 5.脳・筋の水分含量・電解質・浸透圧の変化:正常ラットでは脳Na232±8mEq/kg・dryweight、K416±6、Cl162±8、浸透圧302±16mOsm/kgH_2O、水分含量78.4±15%;筋Na104±16、K457±29、浸透圧366±28、水分含量76.2±1.6%であった。低Na血症ラットでは脳筋ともにNa、浸透圧の低下を認めたが、第8日では有意の変化は示さなかった。6.体性感覚誘発電位(SEP)の変化:左下肢アキレス腱部を刺激し右頭頂領域硬膜上より誘出した。第1日には16.3±1.9msecであったが、低Na血症をきたした第4日には19.3±4.0msecと軽度に、さらに第8日には25.6±6.4msecと著明な延長を示した。現在、組織所見より脱髄の定量化を試み、電解質・浸透圧およびSEP変化との相関の検討を試みている。さらに低Na血症を補正するスピードの検討も必要と考えている。
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Research Products
(1 results)