1988 Fiscal Year Annual Research Report
レーザービーム中にある分子の可視吸収スペクトル測定装置の試作
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63840016
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
北川 禎三 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (40029955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 壮 日本分光, RJ課, 課長
小倉 尚志 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70183770)
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Keywords | 共鳴ラマン分光 / 光ファイバー / フィルター分光器 / レーザー |
Research Abstract |
共鳴ラマン分光法は生体分子活性部位の分子構造に関する詳しい情報を与える有力な手法である。この方法では励起レーザー光の波長を試料分子の吸収帯に近づけるために試料が光エネルギーを吸収して反応する場合のあることが問題であった。光反応性の高い試料の場合に、観測された共鳴ラマンスペクトルが光反応前のものか反応生成物のものかは、他の方法で確認することが望まれている。そこで本研究ではラマン散乱と吸収スペクトルの同時測定装置を試作した。これはラマン散乱励起用レーザー光束中の分子の吸収スペクトルを光ファイバーを用いて測定するものである。吸収スペクトル測定用の白色光とラマン散乱励起用レーザー光を内径0.2μmの光ファイバーに集光し、両者を混合する。白色光は集光性が悪いうえに、色消しレンズを用いても全波長域で同程度に収差を消すことは因難である。とくに紫外域では色消しレンズを製作できない。本装置ではシングルコアの石英製光ファイバーを用いた。光ファイバー中で2種の光は何度も反射を繰り返しながら進むうちに空間的に混合されるが光強度はほとんど弱くならなかった。この光をフローする試料に照射し、90°の方向の散乱光でラマンスペクトルを測定し、180°方向の透過光を分光器に導入して吸収スペクトルを測定した。その装置をタンパク質反応中間体に応用し好結果を得た。すなわち、非常に光反応性に富んだペルオキシダーゼのCompoundI中間体に適用して、ラマン散乱励起光により目的物質が別のものに変化してないことを確認すると共に、光解離性の高い一酸化炭素ヘモグロビンに適用して、レーザービーム中にある分子種の定量とラマンスペクトルを与えた分子種の確認をした。本装置は、光受客体の光反応中間体や不安定分子の共鳴ラマン分光の研究に不可欠のものになるであろうと期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Ogura;T.Kitagawa: Review of Scientific Instruments. 59. 1316-1320 (1988)
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[Publications] K.Kamogawa;T.Funii:T.Kitagawa: Applied Spectroscopy. 42. 248-254 (1988)
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[Publications] A.L.Verma;K.Kimura;A.Nakamura;T.Yagi;H.Inokuchi;T.Kitagawa.: Journal of American Chemical Society. 110. 6617-6623 (1988)
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[Publications] J.De Groot;R.E.Hester;S.Kaminaka;T.Kitagawa: Journal of P-ysical Chemistry. 92. 2044-2048 (1988)
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[Publications] T.Fujii;K.Kamogawa;T.Kitagawa: Chemical Physics Letters. 148. 17-20 (1988)
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[Publications] N.Kitajima;T.Koda;S.Hashimoto;T.Kitagawa;Y.Morooka: Journal of Chemical Society,Chemical Communications. 151-152 (1988)
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[Publications] 北川禎三,A.T.T.: "ラマン分光学入門" 化学同人, 1-203 (1988)