1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63840017
|
Research Institution | DEPARTMENT OF INDUSTRIAL CHEMISTRY, FACULTY OF ENGINEERING, EHIME UNIVERSITY, MATSUYAMA 790 |
Principal Investigator |
戸田 芙三夫 愛媛大学, 工学部, 教授 (50036232)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 光孝 広島大学, 工学部, 助手 (60127644)
野平 博之 埼玉大学, 工学部, 教授 (50008819)
|
Keywords | 光学分割 / 異性体分離 / ホストーゲスト錯体 / 包接化合物 / 光学活性ホスト化合物 / 分子設計 / 分子認識 / 不斉認識 |
Research Abstract |
ホスト化合物が、混合物から1つの成分を選択的に包接する現象を利用して物質の分離と光学分割を行うのが本研究の目的である。2年間の研究によって数多くの成果が得られたが、以下にそれらの成果を総括的に報告する。 先づ、精力的且つ広範な探索研究によって、分子認識に関する数多くの学問的成果と分離・分割に関する実用上の成果が得られた。その詳細は、研究成果の項で述べるが、その概要は次の通りである。新しいホスト化合物の設計・開発を行い、いくつかの優れたホスト化合物を得ることが出来た。中でも酒石酸から誘導した数種類のホスト化合物が優れた性能を示した。これらのホスト化合物は天然の安い不斉源を利用したものであり、工業的規模での使用も可能である。また、軸不斉を有するジフェニル、ジナフチル及びジフェナントリル骨格を含む光学活性ホスト化合物も不斉ホストとして優れていることが判明した。これらはまた、溶液中でも不斉認識能を持ち、光学活性体の光学純度や絶対配置の決定に有効であることも見出した。これらのホストの他、ビフェナントリルそのものが炭化水素系ホストとして優れた包接能を発揮することが分かった。このホストを利用して、数多くの化合物の異性体分離に成功した。特に、ナフタレン誘導体の異性体分離に威力を発揮した。この結果は、工業的にも極めて価値が高いものである。 上記の設計で得られた光学活性ホストによる光学分割は利用価値が高い。例えば、2ーメチルピペラジンや2,2′ージヒドロキシルー1,1′ービナフチルの大量光学分割を容易に行うことが可能になり、各方面から注目されるようになっている。また、2ーベンズアミドシクロヘキサンカルボン酸をホストとして使用すると2ーメチルベンジルアミンが効果的に分割できることも発見した。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Koichi Tanaka: "Separation and Optical Resolution Using Inclusion Complex Formation" Nippon Kagaku Kaishi. 1643-1656 (1988)
-
[Publications] Fumio Toda: "Optical Resolution of 2ーMethylpiperazine by Complex Formation with with Optically Active lーPhenylーlー(oーchlorophenyl)propー2ーynー1ーol" Chem.Lett.513-516 (1988)
-
[Publications] Fumio Toda: "Optical Resolution of Amine NーOxide by Diastereoisomeric Complex Formation with Optically Active Host Compound" Tetrahedron Lett.30. 1841-1844 (1989)
-
[Publications] Fumio Toda: "Optical Resolution of Pantolactone by Inclusion Crystallization with(R,R)ー(-)ー2,3ーBis(diphenylhydroxymethyl)ー1,4ーdioxaspiro[4.5]decane" Chem.Lett.873-876 (1989)
-
[Publications] Hiroyuki Nohira: "Optical Resolution of alphaーEthylbenzylamine and Its Application as a Resolving Agent" Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 1395-1396 (1988)
-
[Publications] Mitsutaka Kitamura: "Polymorphism in Crystallization of LーGlutamic Acid" J.Crystal Growth. 96. 541-546 (1989)
-
[Publications] 戸田芙三夫監修: "包接化合物の基礎と応用" NTS株式会社, 349 (1989)
-
[Publications] 山中宏,野平博之,戸田芙三夫他: "季刊化学総説「光学異性体の分離」" 日本化学会編,学会出版センタ-, 238 (1989)