1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63850011
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷川 庄一郎 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (90011080)
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Keywords | ポジトロン顕微鏡 / 透過型顕微鏡 / 高輝度ビ-ム |
Research Abstract |
電子の反粒子であるポジトロンと物質の相互作用の理解が進んでいるが、100KeV付近の相互作用は不明である。本研究では、(1)できるだけシンプルな構成の透過型ポジトロン顕微鏡のプロトタイプを設計・試作し、(2)エネルギ-、ビ-ム径、発散角の3点において十分に絞られたポジトロンビ-ムを形成し、(3)これを100KeV程度まで安定に加速・若干の走査を可能なものとし、100KeV付近のポジトロンと物質の相互作用を研究し得る試験装置を作り上げることを目的とした。研究成果は以下の箇条に分けて示す。 1.プロトタイプ透過型ポジトロン顕微鏡の設計・試作:超高真空排気系の整備、ポジトロン計測系の整備によりプロトタイプの透過型ポジトロン顕微鏡を試作した。 2.高輝度ポジトロン銃の設計・試作:静電レンズの組み合わせにより透過型ポジトロン顕微鏡のポジトロン銃として最適と考えられる条件を計算し、その設計にもとづいてレンズ系を試作した。目的とする顕微鏡への入射ビ-ムとしては十分な性能のものを実現できた。 3.ポジトロンビ-ムの100KeVまでの加速・走査系および拡大レンズ系の設計・試作:電子に対する技術を、そのままホジトロンに適用し、ポジトロンビ-ムの静電加速・偏向電極による走査ならびに拡大レンズ系の設計を行い、100KeV透過型ポジトロン顕微鏡の原形を試作した。 以上の研究実績により、顕微鏡としての諸機能をテストすることが可能となり、かつ、これまで未開拓領域であった100KeV近傍のポジトロンと物質の相互作用を研究する道をも拓くことができた。
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[Publications] 谷川庄一郎: "レプトン応用計測" 日本原子力学会誌. 31. 900-903 (1989)
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[Publications] 谷川庄一郎: "低速陽電子ファクトリ-" 数理科学. 320. 68-72 (1990)
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[Publications] 上殿明良,谷川庄一郎: "表面・界面プロ-ブとしての低速陽電子" 表面技術.
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[Publications] S.Tanigawa: "Slow/monoenergetic positron beam and its application to solid state physics and materials science" Proc、2nd Int.Symp.on Advanced Nuclear Energy Researeh(Mito,1990).
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[Publications] S.Tanigawa: "Present and future e^+ beams in Japan" Helvetica Physica Acta.
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[Publications] 谷川庄一郎: "透過型ポジトロン顕微鏡の開発" 学術月報.