1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63850034
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡部 平八郎 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 教授 (00016403)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 一郎 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 助手 (00183111)
益子 正文 東京工業大学, 理工学国際交流センター, 助教授 (60111663)
|
Keywords | 基油の蒸発損失 / 油の平均分子量 / 油の分子量分布 / ナローカット油 / グリース基油 / パーフルオロポリアルキルエーテル油 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 1. 高真空下における基油の蒸発損失並びにグリースの摩擦特性を解明するために真空実験装置を作成した。実際の宇宙に近い環境をつくり出すために外部から加熱する機構も取り付けた。さらに歪ゲージの変化から基油及びグリースの蒸発損失を経時的に測定する機構を取り付けた。この装置を用いて高真空中における基油の蒸発損失を測定した。 2. 油の平均分子量と蒸発損失の関係を解明するために平均分子量が同じで分子量分布の異なるパラフィン系鉱油、ポリイソブテン系油の蒸発特性を測定した。その結果、分子量分布が広い油は低沸点成分が優先的に蒸発し、残存物の性状がもとの油と異なってくることが分った。このことよりグリース性状の経時変化を防ぐためには分子量分布をできるだけ狭めた油、すなわちナローカット油を用いることが重要であると判明した。 3. 油のタイプと蒸発損失の関係を明らかにするためにパラフィン系鉱油、ポリイソブテン系油、ペンタエリスリトールエステル油、パーフルオロポリアルキルエーテル油を選び蒸発損失を測定した。鉱油は分子量分布が広く、それを改良するのは困難である。ペンタエリスリトールエステル油は単一物質であるが高真空下で蒸発損失が大きい。蒸発損失を防ぐために炭素数(分子量)を増やすと固体となるので基油には適さない。ポリイソブテン系油も同じ理由で除外された。唯一パーフルオロポリアルキルエーテル油が油状で蒸発損失の少ない油であることが判明し、これをグリース基油として用いることを決定した。 4. 蒸発損失の点で優れるパーフルオロポリアルキルエーテル油の摩擦特性を常圧下で解析した。パラフィン系鉱油と比較するとやや摩擦係数が高いが耐焼き付き性に優れる事が判明した。優れた潤滑特性を発揮させるためには摩擦調整剤が必要であると判断された。
|