1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63850034
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡部 平八郎 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 教授 (00016403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 一郎 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 助手 (00183111)
益子 正文 東京工業大学, 理工学国際交流センター, 助教授 (60111663)
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Keywords | グリース / 宇宙用潤滑剤 / 含フッ素潤滑油 / 真空下摩擦試験 |
Research Abstract |
小型四球式試験機を製作し、真空装置内に組み込んだ。これを用いて真空中での潤滑油の摩擦・摩耗特性を測定し、宇宙用グリ-スに使用する基油の摩擦特性を評価した。 比較のために大気中で摩擦試験を行ったところ、含フッ素潤滑油は同粘度の炭化水素系潤滑油よりも摩擦係数、焼き付き荷重とも大きいことがわかった。摩擦係数が大きいにもかかわらず耐荷重能が優れていることから、含フッ素潤滑油の場合、粘性による流体効果よりも摩擦面で生じる化合物が潤滑作用に関わっているものと推察された。 真空下の摩擦試験の結果を大気中の結果と比べると摩耗痕径、摩擦係数ともやや大きい。摩耗痕径は高荷重ほど差が大きく、また摩擦係数は低荷重程差が大きかった。このように真空中では含フッ素潤滑油の摩擦低減能がやや劣っている傾向がみられた。 含フッ素潤滑油の摩擦特性を向上させるため、パーフルオロカルボン酸を添加して摩擦試験を行った。大気中では摩擦低減能が見られたものの、摩耗低減効果は低かった。特に摩擦時間が長くなるとこの傾向は顕著になった。真空中ではパーフルオロカルボン酸の添加効果は余り見られなかった。これは添加剤自身の蒸発損失が原因であることが判明した。 以上の研究結果から、真空中で蒸発損失の少ない含フッ素潤滑油は潤滑性の点でやや劣っていることが判明した。このため、摩擦低減剤などの添加を必要とするが、パーフルオロカルボン酸程度では分子量が小さく真空中で蒸発してしまう。含フッ素潤滑油を宇宙用グリースの基油として実用化するためには蒸発損失が少ない、有効な摩擦低減剤の開発が不可欠であり、これは来年度の課題として引き続き検討する計画である。
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