1989 Fiscal Year Annual Research Report
走査透過電子顕微鏡における弾性・非弾性散乱信号のオンライン・ディジタル演算処理
Project/Area Number |
63850078
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比野 倫夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (40023139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花井 孝明 名古屋大学, 工学部, 講師 (00156366)
杉山 せつ子 名古屋大学, 工学部, 助手 (00115586)
下山 宏 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30023261)
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Keywords | 走査透過電子顕微鏡 / ディジタル処理システム / 弾性散乱電子 / 非弾性散乱電子 / 電子信号間演算 / 特殊コントラスト / デコンボリュ-ション処理 |
Research Abstract |
1.信号電子検出およびディジタル処理システム 高感度電子検出器を用い、作成したインタ-フェイスを介して信号をディジタル化して記録し、そのSN比を計算することにより、電子検出器およびディジタル処理システムを含めた全体の性能評価を行った。その結果、ディジタル化された信号のSN比は電子の統計的性質から期待される値と一致し、高精度の検出・記録を確認できた。 2.フィルタリングおよびデコンボリュ-ション処理 ノイズのある像についてデコンボリュ-ション処理により解像度を改善することは、ノイズに起因する擬似像が現われるために、一般には困難である。そこで、ケ-ザ-窓のフィルタ-により高周波のノイズ成分を減衰させた後にデコンボリュ-ション処理する方法を採用し、窓の形と擬似像および解像度の関係を調べた。まず、点像をガウス分布の点拡がり関数で劣化させ、電子の統計ノイズを模した白色ノイズを重畳させたモデル画像について、ケ-ザ-窓の最適な形を見い出した。この方法を実際の走査透過電子顕微鏡像に適用し、デコンボリュ-ション処理による復元前の像と比べて、約40%の解像度の向上を得た。 3.電子信号間演算処理 統計的性質に起因するノイズのうち、入射電子の統計ノイズの影響を除去する規格化の方法の定量的評価を行い、理論から期待される通りの効果のあることを明らかにした。また、弾性散乱および非弾性散乱電子間の演算処理として、比および減算処理を行った。比の演算像においては、試料厚さに依存しない原子番号に比例するコントラストが得られ、減算像においては、減算因子の値を適切に選ぶことにより、特定原子番号の元素の構造を消去あるいは強調できることを実証した。 なお、研究経費の大部分は電子顕微鏡部品の購入にあてた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 下山宏: "超高圧電子顕微鏡用電界放出電子銃の開発" 学振141委員会第60回研究会資料. 32-37 (1989)
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[Publications] 日比野倫夫: "入射電子統計ノイズの除去によるSTEMの像質の改善" 学振141委員会第61回研究会資料. 39-44 (1989)
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[Publications] 下山宏: "Emitter and Electron Gun" Journal of Electron Microscopy,Supplement. 38. S1-S9 (1989)
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[Publications] 石川晃: "検出・記録" 日本電子顕微鏡学会分科会資料. 20-25 (1989)
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[Publications] 石川晃: "Detection and Recording" Journal of Electron Microscopy,Supplement. 38. S23-S29 (1989)
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[Publications] 日比野倫夫: "A High-Voltage Scanning Transmission Electron Microscope at Nagoya University" Journal of Electron Microscopy Technique. 12. 296-304 (1989)