1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63850079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥山 雅則 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (60029569)
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Keywords | 赤外線センサ / 撮像素子 / 赤外線イメージング / 強誘電体 / 焦電効果 / 電荷結合素子 / CCD / PbTiO_3 |
Research Abstract |
焦電体とSi電荷転送素子(CCD)を組み合わせた室温動作可能な小型赤外線撮像素子の開発に関する基礎研究を行った。本素子の検知原理としては、赤外線が焦電体の温度を上昇させ電荷を誘起し、MOS界面ポテンシャルを変化させ、この下を流れる電荷を転送して出力するものであるから、まずその熱伝導および電気的解析を行った。具体的には、赤外線吸収電極ー焦電体ー誘電的結合剤ーSiO_2ーSi多層構造にチョップした赤外線を照射した場合のSi界面ポテンシャル変化の周波数依存性を、材料の種類や厚さをパラメータにして計算し、また解像度に対応した熱伝達関数も得た。これらの解析および素子作製の観点から焦電体としてP(VDFーTrFE)高分子共重合体が最も適当であると結論された。そこで、これをAl膜とSiO_2ーSi構造基板上に薄膜化し、分極処理した。Al膜上の薄膜は良好な焦電電圧が出ることを確認し、またSiO_2ーSi構造上の試料は静電容量変化が大きかった。そこでP(VDFーTrFE)膜をSiCCD上に直接形成し赤外線撮像素子を試作した。素子出力の画素間のバラツキはグリセリンを用いた場合と比べてかなり小さく撮像に適すると考えられる。しかし、焦電部を分極処理する時動作点が大幅にずれてしまい、撮像素子としてうまく動作しなかった。そこで、バラツキの小さい特長を生かすため、VDFーTrFEを誘電的結合剤とし、密着性の良い多孔質PZT板を焦電体として用いた。SiO_2ーSi構造上の試料は良好な赤外線応答を示し、SiCCDと結合した撮像素子も出力のバラツキは比較的少なかったが、出力の値は少し小さかった。今後、感度を上げるために構造と材料の両面からさらに改良していきたい。またSiモノリシック形素子実現のためのPbTiO_3薄膜成長の低温化については、現在イオンビームスパッタリング装置を設置し、稼動させ始めており、次年度より本格的実験を開始する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 奥山雅則: Sensors and Actuators. 16. 263-271 (1989)
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[Publications] 奥山雅則: ABTOMETP〓〓. 4. 81-88 (1989)
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[Publications] 奥山雅則: Ferroelectrics. (1989)