1989 Fiscal Year Annual Research Report
貯水池の水質改善用気泡式撹拌機の水理設計針指と最適形状に関する研究
Project/Area Number |
63850117
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 信行 東京大学, 工学部, 教授 (90010818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門屋 大二 川崎重工業, 鉄構機器事業部・課長, 研究者
有田 正光 東京電機大学, 理工学部, 助教授 (90130294)
河原 能久 東京大学, 工学部, 講師 (70143823)
浅枝 隆 埼玉大学, 工学部, 助教授 (40134332)
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Keywords | 富栄養化 / 気泡 / 成層破壊 / 高密度水 / エネルギ-効率 / 揚水筒 |
Research Abstract |
本研究では、水面近くまで達する長い揚水筒を用いて気泡を発生させ、深層の高密度水を揚水して水面までもち上げ、その後、自由に落下させて混合を促進し、密度成層を破壊する方法を提案した。この密度成層の破壊により富栄養化の防止を図ることができ、工学的に有用である。 研究は、主として理論解析によっており、対象は淡塩2成層系中に水面付近まで達する長い筒(気泡筒)を立てた場合とした。解析は、以下に述べる3つの部分に分けて行った。最初に気泡により筒内に誘起される流れの特性を解析した。つぎに、高密度水が筒より飛び出し、水面に衝突した後に水面に沿って拡がるときの拡がり幅を求めた。最後に、高密度水が重力プル-ムとして水面位置から落下するときの密度分布の変化およびポテンシャルエネルギ-の増加分を求めた。 解析結果より、以下のことが明らかとなった。深層水が気泡により誘起されて筒内を上昇するが、ある時刻より流れは下降流に転ずる。実際の深層水揚水においては気泡の発生の瞬間から下降流に転ずる瞬間までが気泡の発生周期である。また、高密度水は筒を飛び出し、水面に衝突したのち、水面直下を大きく拡がる。この拡がり幅は筒の出口での密度フル-ド数と筒の直径で無次元化した筒の出口から水面までの距離の2つのバラメ-タ-により表わされることがわかった。さらに、高密度水が重力プル-ムとして降下することによって密度界面付近に遷移層が形成され、ポテンシャルエネルギ-が増加していくプロセスが明らかになった。特に、ポテンシャルエネルギ-の増分を気泡を発生させる際に要するエネルギ-で徐してエネルギ-効率を求めた結果、最大19%程度まで上昇し、従来の気泡筒をもちいない場合より効率が大幅にアップすることが示された。また、エネルギ-効率は発生させる気泡の体積が小さいほど良いことがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 浅枝隆,中井正則: "水面に衝突する高密度噴流の水面での拡がり幅" 土木学会年次学術講演会概要集第II部. 44. 548-549 (1989)
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[Publications] 浅枝隆,中井正則: "気泡を用いた高密度の深層水揚水施設の解析" 土木学会論文集. 411. 91-98 (1989)
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[Publications] 浅枝隆,中井正則,玉井信行: "水面に衝突する高密度噴流の拡がり幅" 411. 109-115 (1989)
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[Publications] 有田正光,及川秀明: "二成層場からの2次元選択取水に関する研究" 水工学論文集. 34. (1990)