1989 Fiscal Year Annual Research Report
99.99999%アルミニウムの帯精製とその大型化
Project/Area Number |
63850141
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
紀 隆雄 広島大学, 理学部, 教授 (10033797)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 俊男 広島大学, 理学部, 助手 (10153545)
中道 功 広島大学, 理学部, 助手 (40142335)
橋本 英二 広島大学, 理学部, 助教授 (50033907)
|
Keywords | アルミニウム / 帯精製 / 高純度金属 / 金属中のガス |
Research Abstract |
本年度は、まず、二色温度計(千野製作所KK:IR-AQ1TG型一式)を購入して、帯精製時の高周波加熱装置の出力の安定化を計るとともに、溶融帯の温度測定を可能にした。これにより、試料の先端部および後端部を除いては、高周波出力の調整を殆ど必要としなくなった。 つぎに、前年度より製作を進めてきた超高真空帯精製装置を用いて、1x10^<-7>Paの真空下で帯精製を行なった。このような真空下でのアルミニウムの帯精製は他に例をみない。素材は大きさが10x20x900mm^3の公称純度99.999%のアルミニウムである。帯精製は、溶融帯の幅約30mm、移動足で55mm/hで10回繰り返した。帯精製後のアルミニウムの表面は、10^<-5>〜10^<-6>Paで帯精製を行なったものに比べ、被膜が非常に薄く融液からの結晶成長模様が顕著である。ところが、残留抵抗比は、試料先端部では20000程度であるが、後端部に向かって急激に減少しており、被膜が薄いために生じる帯精製器材からの不純物の混入を示唆している。しかし一方、残留水素については、従来の帯精製アルミニウムに比べて半減しており、このことは、99.99999%アルミニウムの精製に重要なガス不純物の除去に超高真空中での帯精製が不可欠であることを示している。 上記の実験に加えて、帯精製素材を検討する目的で、最近入手した、より純度の高い公称99.999%アルミニウムの帯精製を行った。精製条件は真空度10^<-5>Paである以外は上に述べたと同じである。精製後、残留抵抗の測定を行ったが、帯精製効果は殆ど認められなかった。この原因を調べるために、中性子放射化分析を行った。その結果、素材中にMgが異常に多く、しかも、残留不純物の大部分が帯精製効果の小さいSc,Mn,Hf等であることが判った。この様な素材では、素材純度はよくなっているものの、帯精製効果は殆ど期待できない。
|
-
[Publications] Isao NAKAMICHI: "Enhancement of surface resistivity due to anisotropic Guinier-Preston zone scattering" Journal of PhysicslCondensed Matter. 1. 8887-8899 (1989)
-
[Publications] Toshio KOSUGI: "A New Low-Temperature Dislocation-Relaxation Peak in Aluminum" Journal of the Physical Society of Japan. 58. 4269-4272 (1989)